ログイン
IDでもっと便利に[ 新規取得 ]

ジャンル
サブジャンル

国内

「蛇足判決こそ違憲」 イラク派遣 最高裁判断封じる

4月18日8時2分配信 産経新聞


 自衛隊のイラク派遣を違憲判断した17日の名古屋高裁判決は、主文で国側を勝訴としながらも、判決理由の中で原告側の主張をくみ取るという“ねじれ”の論理構成をしている。国側は判決内容に反論があっても、主文で勝訴しているために上告ができない。

 判例としての拘束力を持たない「傍論」部分で、違憲判断を下す「ねじれ判決」は過去にも例があり、そのたびに司法関係者から疑問の声が上がってきた。

 最近では、平成13年の小泉首相(当時)の靖国参拝をめぐり、福岡地裁が平成16年4月に「参拝は憲法違反」としながら、主文で国側を勝訴としたケースがある。過去には岩手靖国訴訟の仙台高裁(平成3年)などが知られている。

 福岡地裁判決では、横浜地裁の井上薫判事(当時)が週刊誌に「主文に影響しない憲法問題を理由にあえて書くのは『蛇足』というほかない」とする批判を寄稿し、議論を呼んだ。今回の判決について井上氏は「1審で訴えが退けられた上、控訴が棄却されているのだから、違憲かどうかを判断する必要はなく、裁判所の越権行為だ」と話す。

 福岡地裁判決の問題点を指摘してきた弁護士の稲田朋美衆院議員も「最終的な憲法判断は最高裁にあるというのは憲法81条からも明らか。非常に高度な政治的判断について、上告を封じ、最高裁判断を封じることは憲法に違反している。まさに『蛇足』の判決だ」と批判する。

 控訴審で国は「控訴人(原告)の法的利益を侵害していない」などと主張しただけで、憲法判断には言及もしていない。一方、原告側の証人申請だけが積極的に認められ、法廷は違憲主張の独壇場となった。

 白鴎大法科大学院の土本武司院長も「裁判所は訴えたことについてのみ判断する義務がある。争点になっている訴え以外のことについて判断を下すことは、やってはいけないことだ」と批判している。

                   ◇

 ■判決骨子

 一、イラク、とくにバグダッドはイラク特措法が自衛隊の活動を認めていない戦闘地域に該当する

 一、空自による多国籍軍武装兵員のバグダッドへの空輸は、他国の武力行使と一体化した行動で、自らも武力行使したとの評価を受ける

 一、空自の空輸活動は、武力行使を禁じ活動地域を非戦闘地域に限定した特措法の規定に違反し、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる

 一、違憲確認請求と差し止め請求は不適法。平和的生存権の侵害までは認められず、損害賠償請求は認められない

【関連記事】
空自イラク活動違憲判決 派遣継続、国益に直結
空自イラク派遣は違憲、原告の公訴は棄却 名古屋高裁
【主張】空自派遣違憲判決 平和協力を否定するのか
【官房長官会見】「他国の警察等々の力を借りなければならない治安状態にはない」
シーア派戦闘、死者70人超に バグダッドにも戦闘拡大

最終更新:4月18日8時20分

  • ソーシャルブックマークへ投稿 1
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • みんトピに投稿
  • はてなブックマークに追加
  • newsingに投稿
  • Buzzurlにブックマーク
  • livedoorクリップに投稿
  • Choixにブックマーク
  • イザ!ブックマーク
ソーシャルブックマークとは

関連トピックス

主なニュースサイトで 自衛隊イラク派遣 の記事を読む
みんなの感想 この話題についてみんながどう感じたかわかります。

みんなの感想(話題ランキング)

日付を選択:



提供RSS