2008.05.09 Web posted at:  22:28  JST Updated - CNN/AP
ワールド

軍政が被災者支援の援助物資をすべて「押収」、WFP発表

バンコク――ミャンマー(ビルマ)南部を今月3日に直撃した大型サイクロン被害で、被災地支援に当たる世界食糧計画(WFP)は9日、これまで運び入れた非常食など救援物資のすべてを同国陸軍が最大都市ヤンゴンで「押収」したことを明らかにした。

WFPの報道担当は、軍政当局の命令に従うほか選択肢がなく、物資搬送の作業は一切中止したと述べた。押収の狙いは不明としている。

WFPは8日、手配した初の航空機がミャンマーに到着、薬品の応急セットなどが届いていた。同日中に計4機が飛来し、国連機関が援助で派遣した航空機到着はサイクロン襲来以来、初めてとなっていた。国際赤十字の支援飛行機も9日に到着したとの情報がある。軍政当局が押収したWFPの支援物資は38トンに及ぶビスケットなどを含む。

サイクロン被害で、国連関係機関、国際社会は続々と支援を表明しているが、軍政当局は援助要員の入国査証の発給に消極的で、物的支援だけ要求する姿勢への批判も高まっている。ミャンマー駐在の米外交官は、サイクロンによる犠牲者は10万人以上、行方不明者は7万人とも推測している。

軍政が外国援助隊の入国に消極的な理由としては、欧米諸国によるミャンマーでの人権侵害非難への反発や10日に予定する新憲法制定の是非を問う国民投票の監視を警戒しているなどとの見方がある。

この中で、米国、フランス、イタリアなどでは被災者支援で援助物資を空中から投下する強硬案も浮上している。領空通過でミャンマー政府の許可が必要なことから、ゲーツ米国防長官は消極姿勢を示しているが、クシュネル仏外相は国連の承諾を得た場合は可能との見方を示している。

同外相は9日、援助物資約1500トンを積んだ海軍艦船がミャンマーへ向かっていることも明らかにした。5月15日までにミャンマーに到着予定としているが、軍政から入国の承認を得ているのかは不明だ。

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