プロレス観戦オフの感想を書こうと思ったんだけど、プロレス観戦マナーについて語りたくなった。
テーマ:プロレス・格闘技最近クオリティの高い興行が続いている好調子なDDTだが、1月28日の後楽園ホール大会もいつも通り素晴らしい内容だった。
で、本当は事細かにレポートでもしようと思ったんだが、それ以上に語りたくなった出来事があったので、今日はそれについてダラダラと。
さて。
DDTというプロレス団体の会場は不思議な雰囲気があるのだが、今回の興行でそれをぶち壊しにする一件が起きてしまった。それもレスラーが何をしたとかではなく、観戦していたファンのせいで折角の好試合が台無しになってしまったのである。
まず最初に、メインイベントのシングルのベルトが掛かった大事な試合で、選手のプライベートに関するどうでもいいネタを大声で叫んでたバカ。
これはもう野次とかいう範疇の問題ではない。
団体で最も価値があるとされているベルトを賭けた一戦なんだし、しかもその試合が本当に素晴らしい完成度の名勝負だったのだからなおさら悔やまれる。こりゃゆとり教育の弊害か?
DDTの会場には、観客と団体が悪ノリをしあいながら、妙なテンションを作っていくという独特の空気がある。
言うなればDDTという団体のプロレス頭とDDTファンのプロレス頭の戦い、もっと簡単に言えば 『団体とファンがプロレスをしている』 という妙な雰囲気があるのだ。
DDTの観客は基本的に優しいし、和やかだし、みんな 「DDTを見て楽しみたい!」 と気持ちを一つにしている。
何たってリングで猿が戦おうと、ダッチワイフが戦おうと、自称超能力者が現れようと、自称メカレスラーが圧倒的な強さを見せつけようと、面白ければ何でもかんでも受け入れて、自分なりの楽しみ方を見つけてエンジョイしてしまう客ばかりなのだ。
中には 『備品の脚立が引退セレモニーを行う』 というバカイベントの際に、感動して本当に泣いてしまったファンまでいる。
そんな優しい観客達だが、『自分たちを楽しませてくれない物』 に関してだけは妙に厳しい。面白ければ何でも許す代わりに、面白くなければ徹底的に拒否反応を示す。
お笑いマッチでも、ハードな試合でも、華麗で派手な試合でも、「クオリティが高ければ何でもOKだが、クオリティが低ければ絶対にNO!」 というのがDDTの会場の雰囲気なのである。
そんな厳しいんだか優しいんだか分からないファンのために、DDTという団体はファンのセンスに負けまいと、毎回あの手この手で 『ファンに対してプロレスを仕掛けてくる』 のだ。
だがそれが今回の大会で一部のバカによって壊されてしまった。
DDTの会場では、野次というのはDDTファンがDDTという団体に仕掛けるプロレス技である。
だからプロレスの範疇を超えてはいけないし、その野次によって他の観客が楽しめなければならない。
これが分かっていない人間は、DDTの会場で無責任な野次を飛ばしてはならない。
逆に言えば他の観客が楽しめて、選手もノリノリで食いついてくるような野次ならば、何を言ったって構わないのだ。
だがしかし!
メインで叫んだバカ以上に、このDDT特有の 『10年かかって団体とファン達が作り上げてきた空気』 を乱すバカ、というかキ印が現れた…。
通称 『Iジャおばさん』 とか 『カブキおばさん』 とか呼ばれてるアホな素人である。
このアホは悪気があるのかないのか知らないけども、とにかく試合に興奮するのかどこの団体でもギャーギャーわめき散らし、時には素人のクセに試合に介入したりする。
挙句に気に入らない選手の退場を追っかけて行って怒鳴りつけたり手を出したりし、さらには会場内だけではなく売店で大騒ぎしたり、他の観客と揉め事を起こした事も一度や二度じゃないという前科のある 『真性のアホ』 だ。
しかもこんなアホを面白がって野放しにしたり、自ら積極的に絡んで行ったりするレスラーや、名物キャラとして記事で取り上げたりするプロレスマスコミがいるから救いようがない。
だからバカがますますつけ上がるんだっつうの。
これが本当にコアなマニアばかりが集まるゆる~い空気のインディ団体の会場とか、つまらない試合ばっかで全然面白くない会場とかであれば、マニアにとって良いスパイスになる場合があるかもしれない。
確かにこのババアの強烈なキャラを 『キチガイ的な面白さをよしとして許してしまう場がある』 のも事実だ。
だがDDTの会場にはこんなはた迷惑なバカが入り込む余地はない。
その 『Iジャババア』 が、よりによってベルトの掛かったタッグマッチで大騒ぎし始めたからさあ大変。
しかもその試合は 『自称超能力者ポイズン澤田』 と、『ポイズンによって蛇人間に改造されたという設定のベアー福蛇』 の出場するタッグマッチである。
設定を見た段階で 「どう観ればいいか」 が分かると思うんだが、そのババアはポイズン組の反則攻撃が気に入らなかったらしく、大声でわめき散らし、リングサイドに駆け寄って試合に介入しようとしやがったのだ。
オレの座っていた位置からではコーナーポストが邪魔でよく見えなかったが、DDTのセコンドはとりあえずそのババアを席に戻らせて押さえようとはしていたらしい。
だがそのババアは収まるどころかますます大声で騒ぎ始め、リング上で戦っている選手達と、それに集中しようとしているファンの神経を逆なでにしてくれた。
しかしDDTは積極的にファンと掛け合いながら育ってきた団体だからなのか、こういう場合の処置がとにかく甘かった。いくらなんでも甘すぎた。
普通だったら強制的につまみ出して、チケット代を返金して出入り禁止にするくらいが当然の暴れ方だったのに、そのババアは会場から出されることもなく、大会終了までそこに座り続けていたのだ。
これじゃあ気が散って、腹が立って、試合を冷静に観るどころの騒ぎじゃない。
少なくとも、馬場や猪木の時代の全日や新日、もしくは元気だった頃の全日本女子プロレスの会場だったら、間違いなく強制退場があたり前だったはずだ。
相手がババアだから暴力行為は控えるにしろ、力ずくでも会場の空気や他の客の気持ちを守るのが 『団体の義務』 なんじゃなかろうか?
だが今回のDDTにはそれが出来なかった。これによって現時点でのDDTの致命的な欠点(改良点という前向きな言い方でもいい) が露出してしまったような気がする。
DDTの社長である高木三四郎選手は、自身のブログで今後の対策を考えると言ってくれている
が、これが二度も三度も続くようなら、オレはもうDDTへプロレス観戦初心者を連れて行こうとは思わない。
ていうか、オレ自身があんな空気の読めないバカのいる会場には行きたくない。
確かにDDTは他の団体に比べて優しい雰囲気があるし、笑いありマジメなプロレスありで、初心者でも安心して楽しめる良い団体だと思う。会場の楽しさで言えば、有名な大手団体にも負けないくらいの素晴らしさを維持し続けている。それは間違いない。
だからこそ、こういった会場の空気を濁すような輩は排除しなければならないだろう。
今となってはプロレスとはか弱い存在で、団体とファンの間に強い信頼関係が成り立たなければ存在し得ないショーと化している。もし信頼関係を築けなければ、例え新日本プロレスという一昔前は業界トップだった団体でも簡単に落ちぶれてしまう時代なのだ。
だからこそ各団体は、自分達のカラーに合った空気を守るために、高いお金を払ってまで観に来てくれる観客を守るために、日夜努力しなければならない。
その点に関して、規模は小さいながらも今まで成功を積み重ねて成長し続けて来たのがDDTなのだ。
だがそんなDDTも、最近はちょっと大きくなり過ぎてきたのかもしれない。
今後は自分達のスタンスを守るためにも、そしてそれを応援し続けるファンのためにも、『守る』 という事を考える時期なんじゃなかろうか?
これはDDTに限った事ではないけれど、プロレス団体には大なり小なり過去に培ってきた歴史というものが存在している。だからプロレス会場にはその団体を支えて来たレスラーや、スタッフや、ファンの想いがこもっている。
従って、プロレス観戦に行く際はそういった空気を汚さないように心がけるのが最低限のマナーなのである。
それを乱す輩が出現した際には、他の客が我慢できずに手を出す前に、団体側が毅然とした態度を取らねばならない。そうしなければ、絶対に客同士のイザコザといったさらに面倒な事態に発展してしまうからだ。
これはプロレスに限らず、例えばバンドのライブとか演劇とか、野球やサッカーといったスポーツの会場でも同じ事だ。
小規模な内なら物好きな少数のファンを仲間意識で相手にしていればいいけれど、ある一線を越えたらその考えを改めないといけないだろう。
古参のファンと空気の読めない新参者とのイザコザはあらゆるジャンルで発生するものだが、それをどう解決していくかが 『今以上に大きくなれるかどうかの境目』 なのだとオレは思う。
今回のDDT件で言えば、とにかくあのババアとメインで下らない野次を飛ばしたバカは強制的にでも排除すべきだった。
そうでなきゃファンよりも何よりも、リング上で必死に身体を張って試合をしているレスラーが浮かばれないって。
■備品の引退セレモニー見たいな!
古参や新参者とか、関係なく最低限のマナーが、守れない人は、強制退場ぐらいしないとダメだと思う。