Print this Post Article Lists Back

不良債務者のモラルハザード拡大 またの経済危機要因に

 最近政府が講じた不良債務者対策で、金融会社に借金を抱える債務者のモラル・ハザード(倫理の欠如)が深刻化している。銀行はもちろん、クレジットカード会社や貯蓄銀行、貸付業者といった金融機関全般にわたり、借金返済を拒否する“開き直り”的債務者が増えている。

▲「この期間さえ持ちこたえれば」=ソウルのA貸付業者職員は、政府の不良債務者対策が講じられて以来、債務者から1日に数回「利子はなかったことにしよう。元金も負けてくれ」といった問い合わせが入るという。

 20代後半の女性(大卒)は、昨年末に300万ウォンの融資を受けた後、借金の取立が来ると、「何度も続くようなら破産してやる」とむしろ脅迫口調に出る。この女性は少し前に結婚したが、夫に借金償還の圧力がかかることを恐れ、まだ婚姻届も出していないと、貸付業者職員は語った。

 C百貨店で百貨店カードを使い330万ウォンを決済した後、返済していない30代の女性、パク某(会社員)さんは「バットバンクが設立されるまで返済しないつもり」としている。バットバンクとは、複数の金融会社に対して抱えている個人の借金を1カ所に集め、処理する機関をいう。

 債権取立人は「百貨店や携帯電話の料金など非金融会社の債権はバットバンクの救済対象ではないと説明すると、『近く、われわれのような滞納者に対しても、政府が対策を講じるはずだから待ってくれ』と反対に説得に出る」とし、あきれた様子だ。

▲地団駄踏む金融会社=金融界は、滞納者が借金を返済しなくなれば、手の施しようがないとし、苛立っている。

 貯蓄銀行連合会の関係者は「滞納率の管理次元で新規融資はしていないが、過去の返済されていない貸出金が累積し、悪性債務に転じている」と懸念した。貯蓄銀行の滞納率は昨年8月、46.8%から今年1月には53.8%に上昇し、半分以上の貸出金が滞納状態に陥った。

 このような中、金融監督委員会は18日、不法・不当債権取立申告センターまで設立し、債権取立関連の民願(行政機関に対して処分等特定の行為を要求する個人・法人、または団体の請願)の多い金融会社は特別実態点検を実施すると空威張りまでしている。

 都市銀行の債権取立チームのある職員は「借金を返済すべき債務者が、むしろ銀行を悪者扱いする」とし、「借金償還を催促して悪口を聞くのはもはや茶飯事」とした。20代の若い債務者の間では債権取立人が悪口を言うように誘導してこれを録音し、不当な債権取立だと政府当局に告発する状況が1度や2度ではない、と話した。

 金秉柱(キム・ビョンジュ)西江(ソガン)大学教授は「人気取りの借金帳消し政策は、潜在的な不良債務者を量産する恐れのある“亡国的措置”」とし、「企業のモラルハザードが通貨危機を招いたように家計のモラルハザードは韓国経済にまたも危機を招く恐れがある」と指摘した。

キム・ヨンジン記者hellojin@chosun.com

ナ・ジホン記者willy@chosun.com

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
このページのトップに戻る