東京都中央卸売市場築地市場(中央区)の移転が計画されている豊洲新市場建設予定地(江東区)で、土壌の一部から環境基準の4万3000倍に上るベンゼンが検出されたことが都の調査で分かった。都は当初計画より1年遅れの13年の移転を目指しているが、汚染対策の大幅見直しは必至で、移転時期がさらにずれ込む可能性も出てきた。
移転予定地は東京ガスの工場跡地。都は、予定地全域を10メートル四方ごとに約4200カ所に区分して詳細な調査を実施し、うち1カ所で極端に高濃度のベンゼンが検出された。工場で使用していたコールタールが染み込んだ部分とみられる。地下水の一部からも、環境基準の1万倍相当のベンゼンが見つかった。
昨夏の調査で、地下水から環境基準の1000倍のベンゼンが確認されたことから、都が15億円をかけて調査していた。
都は、建物建設地を除く予定地全域で地下2メートルまでの土壌を入れ替え、さらに2・5メートルの盛り土をするなど、約670億円を費やして汚染対策を進める方針を打ち出しているが、今回の結果を受けた追加対策で、対策費の大幅増は避けられない見通しだ。【市川明代】
毎日新聞 2008年5月5日 東京朝刊