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憲法記念日に表現の自由問う 映画「靖国」一般公開

2008年05月03日

 論議を呼んだドキュメンタリー映画「靖国」がこの日、各地に先がけて東京・渋谷のシネ・アミューズで一般公開された。

 初回開始前から券を求めて列ができ、夜までの全上映回分が午後2時半ごろに完売。不測の事態に備え、スクリーン近くには警備員が観客と向かい合う形で座り、私服警官もそばで警戒した。夜までに英語字幕版を含めて8回上映された。渋谷署によると、大きな混乱はなかった。

 午前6時に一番乗りした東京都文京区の大学生笹木陽介さん(18)は「話題が先行したが内容は過激ではなかった。なぜ問題になったのだろう」。元裁判所書記官の男性(75)は「この内容でなぜ上映中止にしたいのか分からない。国会議員が事前に試写を求めたのは思想検閲だ」と話した。公務員の夫と訪れた都内在住の女性(51)は「上映されてよかった。これをやらないなら日本は言論の自由がない国になってしまう」と語った。

 上映を決めている各地の映画館でも準備が進む。

 大阪・十三の「第七芸術劇場」は10日から上映する。松村厚支配人は「表現の自由を守ろうという大層なことではなく、映画館は上映してなんぼ。実害がないうちに中止すべきではない」。中止要求や抗議はなく、逆に上映時期などの問い合わせが急増した。「上映中止が相次いだと思えば、報道で取り上げられ『見たい』と電話が殺到した。流されやすい空気は怖い」

 24日から上映する広島市の映画館「シネツイン2」の蔵本順子社長(57)は「内容に賛否があってもまず見てから議論するのが民主主義」。上映中止問題をめぐるメールや電話などは約200件に上る。95%は好意的内容だったが、「(上映中止に)応じないなら、こちらにも考えがある」という脅迫めいた電話もあった。でも、周辺の店やビルのオーナーらにあいさつに行くと、「気にせず頑張って」と励まされた。

 京都シネマ(京都市下京区)は6月7日から上映。神谷雅子代表は「見てどう思うかは一人ひとり違うし、映画とじっくり対峙(たいじ)してもらえれば」と話す。3月末〜4月上旬に約50件の電話やメールが寄せられた。抗議的な意見も1割弱あったという。

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