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内科・外科の救急告示を取り下げへ 市立泉佐野病院

2008年05月01日

 大阪府泉佐野市は6月から、市立泉佐野病院(348床)で内科、外科の「救急告示」を取り下げ、夜間・休日の時間外診療を当面休止する方針を決めた。内科は救急車による搬送も原則として受け付けない。勤務医の減少が止まらず、軽症の救急患者が増え続ける中、医師の負担が重い時間外診療は不可能と判断した。

写真内科と外科の救急告示を取り下げる方針を決めた市立泉佐野病院=大阪府泉佐野市、本社ヘリから

 市によると、同病院では大阪市立大が派遣した消化器内科の医師7人が昨年3月末に一斉に引き揚げられるなど、内科医不足が深刻化。今年6月末には、さらに2人が退職して計9人になり、昨年3月時点の半分以下になる見通しだ。このため、6月1日から内科系疾患の時間外診療を原則としてやめる方針を固め、市議会に伝えた。府が一定の基準で認定する「救急告示病院」の看板返上も申し出た。

 同病院では内科医と外科医が一組になって宿直する態勢を取っている。外科医の数はあまり減っていないが、6月以降、外科医しか泊まれない日が増え、専門外の患者を診察せざるを得なくなることから、安全で責任ある医療ができないと判断した。ただ、外科については救急告示を取り下げるものの、救急車での重傷者の搬送に限って受け入れる方向で最終調整している。循環器科と産婦人科は従来通り、救急受け入れを続ける。

 同病院の今年1月28日〜2月3日の調査では、時間外に193人が救急車を使わずに来院。うち173人は入院の必要がない軽症者だった。病院関係者は「何でも病院に頼る『コンビニ受診』を減らすのも狙い」と明かす。激務で医師が去り、収益が悪化するのを防ぎたい思惑もある。

 同市以南の府南部では、生命に重大な危険がある患者に対応する府立泉州救命救急センター(同市)を除き、内科の救急病院がゼロになる。同市消防本部は07年、全体の半数近い約2500人を泉佐野病院に搬送し、約370人が入院した。市幹部は「市民への影響は避けられないが、内科医の負担が増し、全員が辞職することになれば病院自体が崩壊しかねない」と話す。(加戸靖史)

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