川辺川ダム建設の是非を検証するため、蒲島郁夫知事が設置方針を明らかにしている第三者委員会「有識者会議」に対し、ダム建設反対派が警戒を強めている。県は近く同会議のメンバーを公表する予定だが、河川工学などの専門家で固め、住民代表は加わらない見込み。29日に相良村であった反対派の集会では「有識者会議」に対し「住民排除だ」など疑問や批判の声が相次いだ。
蒲島知事は同会議の議論を踏まえ、9月県議会でダム建設の賛否を表明する方針。同会議は5月にも初会合が開かれ「月2回くらいのペース」(県幹部)で会合を重ねるとみられる。潮谷前県政時代は住民討論集会などで反対派住民が論議に加わる場面があったが、蒲島知事は同会議のメンバーに住民代表を加える可能性を否定している。
反対派は29日、相良村で球磨川流域の水害被害者27人の声をまとめた冊子の出版記念集会を開催。
講演した熊本県立大環境共生学部の中島熙八郎教授は「有識者会議」について「なぜ第三者なのか。住民の声を聞かずに何を検証するのか。住民を排除しているにすぎない」と批判。
冊子を編集した「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表は「住民討論集会などで県民は議論を尽くしてきた。有識者会議は必要ない。蒲島知事と直接、意見交換したい」と訴えた。
=2008/04/30付 西日本新聞朝刊=