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生活保護利用支援連絡会:弁護士らが設立、生活保護費減をストップ /山梨

 ◇通院交通費限定、見直し呼びかけ

 生活保護受給者らを支援しようと、県内の弁護士や医療ソーシャルワーカーらが今月、山梨生活保護利用支援連絡会を設立した。生活保護者が北海道で通院交通費として2億円を詐取した事件が起き、厚生労働省が緊急時のみに通院交通費を支給する方針を示したため、方針の見直しを呼び掛ける活動などを行っていくという。【沢田勇】

 北海道滝川市で07年11月、生活保護を受ける夫婦ら4人が、通院交通費など2億円をだましとったとして逮捕・起訴された。事件を受け同省は、生活保護世帯への通院交通費の支給を原則として災害など緊急時に限定する方針を打ち出した。

 連絡会によると、人工透析が必要な受給者は週数回通院する必要があり、通院交通費の支給が限定的になることによって受ける影響は計り知れない。「本当に必要としている人には支給すべきだ」として、同省に制度の維持を呼び掛けるほか、今後もさまざまな支援策を検討していく方針。

 生活保護を巡っては、北九州市で07年7月、ケースワーカーから就労指導を受け自ら生活保護を辞退した1人暮らしの男性(52)が、日記に「生活困窮者は死ねということか」などと書き残して孤独死しているのが発見されたり、窓口で相談だけ受けて申請書を渡さない「水際作戦」と呼ばれる行為などの問題が指摘されている。

 連絡会の事務局長を務める永嶋実弁護士によると、県内でも病気を抱え就労できない人に「家賃が高すぎる」といって、相談扱いにして申請を受け付けない例もあるという。

 永嶋弁護士は「セーフティーネットといわれる生活保護制度が本当に適正に運用されているか専門家集団として実態を調べて積極的に発言していきたい」と話した。

 県児童家庭課によると、県内の生活保護受給世帯はバブル崩壊後から増加。08年2月末には、95年度の1549世帯(1965人)から2968世帯(3674人)に増えた。

 生活保護は、支給額の4分の3を国、4分の1を福祉事務所を持つ自治体が負担するため、受給世帯の増加が自治体財政を圧迫する。受給者の自立を支援するケースワーカー不足も、水際作戦を増加させる一因と指摘されている。

毎日新聞 2008年4月27日 地方版

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