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東大大学院で修士課程の入試問題漏洩 准教授を解雇

2008年04月28日19時43分

 東京大学は28日、海洋研究所の浦川秀敏准教授(37)が、07年度の大学院新領域創成科学研究科(自然環境学専攻)の修士課程の入試問題を複数の学生に漏らしていた、と発表した。25日付で浦川准教授を解雇、当時の専攻長の教授(62)を半日分の減給という懲戒処分としたほか、研究科長ら4人も訓告などの処分にした。小宮山宏総長と担当理事らは給与の1割を1カ月自主返納する。

 東大で入試問題の漏洩(ろうえい)が発覚するのは、学部も含めて初めてという。学内の調査委員会によると、浦川准教授は06年6月末から8月上旬にかけ、同専攻で自分が受け持つ研究室を第1志望とした学生に対して複数回、電子メールや電話などで「この分野を勉強しておくように」と具体的内容を伝えていた。准教授は07年度入試の出題委員の一人で、専門分野の出題6問のうち5問に、漏洩にあたる個所があったという。金銭の授受など不適切な関係はなかった、としている。

 同専攻にはこの年度、82人が受験し56人が合格。漏洩を受けた受験生は全員が合格したという。一方で同大は「学生側は入試問題とは知らずに情報提供を受けた。いわば被害者」として、関係した学生の人数など詳細は公表しなかった。また、精査の結果、合否が覆るほどの影響はなかったとして、再試験や不合格者の救済もしないという。

 漏洩は今年2月、情報提供を受けた学生が別の教授に相談して発覚した。浦川准教授は「自分の研究室を希望する学生を入れたかった。申し訳なかった」と話しているという。

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