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東大スキー山岳部の新井監督、北アルプスで遺体発見

2008年04月28日11時02分

 28日午前8時ごろ、長野・富山県境の北アルプス・五竜岳(2814メートル)山頂から約300メートル下の長野県側斜面で、東大スキー山岳部監督の新井裕己さん(32)=群馬県高崎市九蔵町=が遺体で見つかった。27日午後6時ごろ、新井さんの知人から長野県白馬村の遭難対策協議会に「新井さんと連絡がつかない」と連絡があり、同協議会の通報を受けた大町署が28日朝からヘリコプターで捜索していた。

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長野県警ヘリコプターで搬送・収容された新井裕己監督=28日午前8時54分、長野県大町市観音橋ヘリポートで

 同署によると、新井さんは23日に1人で同村内の「HAKUBA47スキー場」から入り、南西方向に約7キロ離れた五竜岳を目指して24日に下山する予定だったという。新井さんは発見時、スキー靴を履いていた。同署は滑走中に滑落したのではないかとみて調べている。

 新井さんのブログによると、22日にも日帰りで五竜岳に登っていた。下山の際に、水分を多く含んだ湿雪の雪崩が起き、「かなり神経使いながら一歩一歩命がけ」と書いている。

 新井さんは急斜面での滑降で知られる山岳スキーヤーで、東大大学院農学生命科学研究科の修士2年だった02年4月、北アルプス・鹿島槍ケ岳(2889メートル)北壁のスキー滑降に初めて成功した。フリークライミングのトレーニングの研究でも知られ、共著に「フリークライミング」(山と渓谷社)がある。

 新井さんが連載をしていた雑誌「ROCK&SNOW」の萩原浩司編集長は「過激なルートを攻め続けて限界に挑む第一人者だったが、安全面の研究もしていた。彼を目標にしてチャレンジしていた人は多かった」と語った。

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