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海外移民者が資産を国外に持ち出すワケ

 米国に移住し、旅行会社を経営するファン某さん(53)は、今年2月、ソウル江南に残してあった30坪台のマンションを売り、そのお金でサンフランシスコ近郊の食堂を2店舗買収し、家を1軒新築した。

 ファンさんは「8年前に2億ウォン(約2500万円)だったマンションの価格が、今年に入って13億ウォン(1億6000万円)にまで跳ね上がったが、不動産保有税(財産税+総合不動産税)が大幅に上がったために売り払った」と話した。このように、海外に移住した人たちが不動産保有税から逃れるために韓国内に保有していた住宅を売却するケースが、今年に入って急増している。7日の韓国銀行のまとめによると、今年1月から10月までに移民者が海外に持ち出した資産の規模は25億490万ドル(約2884億円)にも上り、史上最大の金額となった。これは昨年の同時期の19億9130万ドル(約2293億円)に比べると、25.7%も増えている。

 移民者らが今年持ち出した資産のうち、移住直後の定着資金として持ち出した移住費(4億8620万ドル=約560億円)は昨年より9.3%減少したが、その一方で、以前移住した人たちが韓国内に残してきた資産を売却して持ち出した金額(20億1870万ドル=約2325億ドル)は38.6%も増えた。韓国銀行では、移民者らが海外へ持ち出す資金の規模が、今年1年間で30億ドル(約3455億ドル)を突破するものと予想している。2003年に13億960万ドル(約1508億5000万円)だった資産の持ち出し規模が、わずか3年で2倍にも膨れ上がったというわけだ。

 米国ロサンゼルスにある「ロサンゼルス韓美銀行」のホン・ソンギュ副頭取は「最近、移民者らが総合不動産税を逃れるために韓国内の不動産を売却し、優秀な学校が集まるロサンゼルス近郊のアーバイン地区に投資するケースが大幅に増えた」という。ホン副頭取はまた、「最近、米国では相続税を段階的に廃止する傾向にある。移民者たちが相続税から逃れるために韓国内の住宅を売却し、米国の住宅を購入する傾向もある」と付け加えた。また、ウォン・ドル為替レートの下落で、より多くのドルを確保できることも、韓国内の資産売却に拍車をかける要因になっているという。そうした中、ハナ銀行ウェルスマネージメント部門のチ・ウンヨン不動産係長も「移民者たちの間で韓国内の資産の売却が、最近かなり目立って増えてきている」と話した。

申知恩(シン・ジウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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