ニュースのたね

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芥川の蜘蛛の糸と光市母子殺害事件

元少年に涙する人は、どれだけいるのか

谷口 滝也(2008-04-23 18:36)

 犯行当時18歳だった被告(現在27歳)による、光市での母子殺害事件について、広島高裁の差し戻し審が死刑判決を出した。

 山口県光市の母子殺害事件は、今でも、多くの人の心を悩ましている。

 私のような、浅はかな知識しかない人間も、死刑廃止論や、日本での終身刑の創設議論、昔に見た、あだ名が悪魔と呼ばれた別の少年の獣のような目などを思い出した。

 振り返ってみると、元少年が長年言ってきた、強姦目的での犯行主張は途中で大きく変わり、ドラえもんや魔界転生などの引用妄言で、裁判を大きく撹乱した。

 元少年には、裁判所や神への冒涜(ぼうとく)と言う概念は、少ないのだろうか。
 私達大人は、元少年に、蜘蛛の糸を自分で切るなといえなかった。

 生き延びるために主張を途中で変えたり、弁護団の弁護士を狡猾に観察して、苦労人の今枝弁護士を解任した元少年は、頼るべき人を間違えて墓穴を掘った。

 今回の判決は、少年犯罪だけでなく、弁護士の存在意義まで考えさせられる裁判だったと思う。

 私は、マスコミや、有名な評論家のコメントよりも、芥川龍之介の作品、「蜘蛛の糸」の方が、今回の裁判を的確に象徴していたと思う。

 元少年が切った蜘蛛の糸は、今枝弁護士や、最高裁や高裁の裁判官の心と繋がっていたのではないだろうか。

 芥川の話の、天国から地獄に垂れ下がる蜘蛛の糸の話よりも、後味の悪さだけが、元少年の言葉からは感じられた。
 元少年は何故、自分で蜘蛛の糸を切ったのだろうか。

 元少年と言う形容詞で、彼を救済し、かばう人は一定数いても、彼の言葉に感動して救済を考えた人などは、ほとんどいないのだ。

 元少年の虚言妄想は、整合性がなく、あまりにも酷すぎた。
 どうして、自分で、それに気付かなかったのか?

 元少年を助けようとした、死刑廃止論者の安田弁護士を中心とする弁護団は、少年に本心を語らせる事が、出来なかったのではないだろうか。

 元少年は長い裁判期間の中で、多くの本は読んだが、人を最後に動かすものの1つが、誠実な言葉だと言う事を学べなかったようだ。

 少年は、アメリカの金持ちの裁判のように、自分の損得の感覚でしか、弁護士を見れていなかったのではないだろうか。

 事件発生から多くの時間が流れた。

 自分の妻と娘を凶悪犯罪で亡くした本村さんは、真実の言葉と社会正義の力で、論理的に烏合の衆に成り果てた元少年の弁護団よりも、説得のある存在に成長した。

 本村さんは、「人生は、偶然を必然に変える過程」と言っていた。

 光市の母子殺害事件で、元少年の死刑に反対してきた人達は、少年が死刑を執行された日に、涙を流してくれるのだろうか。

 彼らの涙を合計しても、本村さん1人が、多く流した涙の量には及ばないだろう。
 涙の分だけ、強くなれた本村さんに比べて、少年は多くの読書の知識を、自分が殺害した弥生さんと、夕夏ちゃんの魂の救済の言葉に使わなかった。

 元少年は、自分の嘘の言葉が、今後の多くの少年裁判に多大な影響を与える結果になったことを十分に反省して欲しい。
 元少年は、死刑と決まった。しかし、彼が死刑の日を迎えるまでの態度は、多くの少年裁判に影響を与えるだろう。
 弥生さんと、夕夏ちゃんの供養のための写経や、現世に生きる人々に、真実を語るため、獄中記録を、しっかり残して欲しい。

オーマイ・アンケート

いま、地方自治には幅広いニーズへの対応と同時に大胆な変革の実行が求められています。住民として、これからの地方自治をどう考えますか?
留野 直樹
特に問題はなく、これまで通りでよい
行政内部でより良い方向に変わってほしい
NPOや市民グループに頑張ってもらいたい
地方自治が重要だとは思っていない
地方は国の指示に従うのが一番いい
よくわからない、考えたことがない

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