MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

中国当局? 聖火支援学生らにマニュアル指南

2008.4.25 23:52

 【北京=矢板明夫】北京五輪の聖火リレーへの抗議活動に対抗するため、世界各地で相次いで行われた中国人留学生の大規模な支援活動では、参加者にほぼ同じ内容の行動指南書が事前に配られており、中国当局が関与している可能性をうかがわせている。指南書は、心構えや突発事故の対応方法などきめ細かに書かれており、支援活動が中国のイメージを損なわないように最大限の配慮を参加者に求めている。

 オーストラリアのキャンベラなどでの聖火リレー支援活動で配られた指南書には、「聖火が奪われそうになったとき、体を使って相手を封じ込めてもいいが、暴力を振るってはいけない」「抗議者と対(たい)峙(じ)したとき、大声でどなってもいいが、相手を侮辱してはいけない」「メガホンを使って意見を述べてもいいが、トマトやタマゴなどを投げてはいけない」などと書かれ、法律の順守を強調している。トラブルが発生した場合には、自分で解決せず、速やかに地元の警察に通報するよう求めている。

 また、支援活動や中国人のイメージアップを図るため「中国の国旗だけではなく、五輪の旗や聖火リレー主催国の国旗を振って応援しよう」「自分のゴミを持ち帰ろう」などとも呼びかけている。

 指南書の配布が奏功したのか、インドネシアのジャカルタやオーストラリアのキャンベラなどで行われた聖火リレーでは、大きな衝突や混乱は起きなかった。中国メディアは集会の様子を詳しく伝え、「気迫でチベット独立分子を圧倒した」「五輪の名誉が守られた」と支援活動の成功を絶賛した。

 しかし一方、中国国内の民主活動家の間では、「これらの留学生が将来帰国したとき、中国の民主化の担い手になってもらいたい」と期待する声もあがっている。

 著名な反体制活動家、劉暁波氏は産経新聞の取材に対し、「1989年の天安門事件以後、中国国民が政治上の意見を表現する機会はほとんどない。2005年の反日デモは、投石や店舗襲撃など暴力的な傾向があった。今回の一連の集会は“やらせ”かもしれないが、中国人留学生にとって、欧米や日本の集会、言論の自由を体感するいい機会だと考えている」と語った。

 中国政府としては、聖火リレーへの留学生動員の成果を喜んでばかりはいられないようだ。

PR
PR
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。