光市母子殺害事件の裁判当日(4月22日)の朝、私は広島高裁の近くを通った。
朝9時前から、空には私の見た限り5機のヘリコプターが飛んでいた。広島高裁と被告の元少年がいた広島拘置所は距離が近いので、ヘリコプターは同じ場所を何度も旋回しており、騒音はすさまじかった。1時間以上もそんなに空から撮影する必要があったのだろうか? 各メディアでは、傍聴席を求める人の数が4000人近くに達したことをもとに、この事件の重大性を物語っているかのように伝えていた。だが、傍聴席を求める人のほとんどがメディアが集めたアルバイトとお祭り騒ぎに集まった野次馬だ。私も、この事件にはまったく興味がなかったが、並ぼうかと思ったくらいだ。集まった人数が多いからといって、事件の重大性とはまったく関係ない。 この事件の何をそんなに騒いでるのか。とりあえず、新聞やインターネットで調べた。すると私が高校1年ぐらいの時に経験したことと似ていると思った。 男なら誰でも、思春期にものすごくエッチをしたいと思う時があるのではないだろうか? 普通なら、彼女を作ってエッチをしようともちかけるのかもしれない。だが、私の場合、年上の女性とエッチがしたくなった。母性のある女性の体に興味がわいて仕方がない。それで思いついたのは、女性の居そうな家に行き、足裏マッサージを装って女性の足に触ることができればエッチまでいけるのではないかということだった。 すぐに実行してみた。1件目は最初から女性に警戒され、ドアを開けてもらえなかった。2件目はドアを開けてくれ、「足裏マッサージをさせて下さい」と言ったがあっさり断られた。それでこの計画は無理だと思い、あきらめた。 よく考えれば、童顔の少年が私服でやってきて、「足裏マッサージをさせて下さい」と言って「はいどうぞ」と受け入れるはずもない。 被告の元少年は排水検査を装って部屋に入ったらしいが、被害者がそれと信じた服装と大人に見えていたのだろうか(※編集部注1)? 元少年は部屋に入れた瞬間、被害者の女性はエッチさせてくれると妄想が膨らんだ可能性がある。 今は馬鹿げたことをしたと思うが、私もその時は、頭の中にエッチをしている妄想しかなく理性をコントロールすることなどできなかった。初心者がエッチの妄想で興奮している時は、冷静な行動はできないのではないだろうか? 計画を途中であきらめた私と元少年の違いは、私には体力がなく元少年には体力があったことぐらいだろう。 私は体も小さく、強引に年上の女性を押さえ込む体力などなかった。元少年の体型はよく分からないが、学校で柔道を習っていた時期があるようで、被害者の女性を押さえ込む自信があったのかもしれない。しかし、すんなりとエッチをさせてくれないので乱暴になり、結果的に被害者の女性とその子どもを殺したのではないだろうか? 私が、もし元少年と同じような結果になり、逮捕されて動機を聞かれたら「エッチをしたかった」とは絶対に言わない。それを言うぐらいだったら「金目当てで押し入って殺した」と言うほうがましだ。 エッチをし損なって殺したなどと、プライドがある男なら絶対口にしたくないはずだ(※編集部注2)。また、エッチの妄想で興奮していたら、冷静になった時、自分が何をしたかボーっとして分からないと思う。 それに男はエッチをした後、ものすごく冷静になり、たまに異常に落ち込むことがある。自分ではない自分に愕然とするというか「何でこんなことして るんだろう」と、だから忘れたい気分になっても不思議ではないと思う。そこを弁護団は察することができたのだろうか? 要するに、こういった事件を起こす可能性を持った人間が少なくとも日本に2人はいたということになる。1人はいまこうして記事を書いているし、1人には死刑判決が下った。だから、元少年が死刑になっても、私は今後もこういった事件はなくならないと思う。 本当は、被害者遺族と元少年の弁護団の対決だけではなく、国の性に対する整備の欠陥についても考えられるべきではないだろうか? 日本には性に対するはけ口があまりにもなさ過ぎる。よくスポーツをすればいいと言われるが、スポーツをするとますます体力や精力がついてエッチをしたくなる。売春や性風俗がいいとは思わないが、思春期の少年の性のはけ口は考えないと、若者の性犯罪は減らないのではないだろうか? 宮崎勤・死刑囚は性のはけ口を幼女に向けたが、あの事件以来、何も変わっていないように思う。 ※編集部注1:光市の事件では、元少年は勤め先のネーム入り作業服を着て、社名を名乗り、「配水管の検査に来ました。トイレを流してください」と告げたとされています。 ※編集部注2:光市事件で元少年は、1、2審では強姦目的の犯行を認めましたが、差し戻し控訴審では強姦目的での犯行は否定しました。ただし、判決では、強姦目的と認定されました。
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