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後期高齢者医療 保険料天引きミス4万人、2億円超に

2008年04月25日03時05分

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、自治体が4月に年金から天引きする保険料を誤る徴収ミスが、少なくとも約4万人分、総額2億円以上にのぼることが分かった。4月に始まった新しい制度で、不慣れなことによる単純な事務手続きミスが目立った。

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 朝日新聞社が、制度を運営するために都道府県ごとに作られた広域連合すべてに取材し、集計した。徴収ミスを把握しきれていない広域連合もあり、実数はさらに膨らみそうだ。

 多かったミスは、保険料ゼロだった被扶養者の負担が急増するのを緩和するため9月まで免除されていたにもかかわらず、4月に天引きしたものだ。宮城県名取市は被扶養者だった人など691人から1人あたり1900円〜最高で約8万円(いずれも2カ月分の保険料)、計523万円を誤って天引きした。

 保険料の計算を間違えて過大に天引きされた人もあわせると、30都道府県の約1万4千人にのぼり、誤って徴収した額は計1億円に達する。

 一方、広島県尾道市が、広域連合が算出した半年分の保険料額を1年分と勘違いして天引き処理し、2万人近くの保険料が本来の半額になってしまうなど、保険料が実際より少なかったのは6道県で約2万5千人。徴収不足の額も計1億円を超えた。

 各自治体は、取りすぎた分を戸別訪問で返還したり、不足分を今後上乗せしたりするなどして、帳尻をあわせる予定だ。年金支給と保険料天引きは2カ月に1度。次回6月支給時までに訂正処理が間に合わない自治体もあるという。

 4月の保険料は、06年度の所得から算出した仮の額。昨年度の所得をもとにした正式な保険料は夏ごろに広域連合が改めて算出し、10月分の年金天引きから適用する。誤った額のまま天引きされ続けることはなさそうだ。

 ミスの原因は、国民健康保険から健保組合などに移った人のデータを更新せずに古いデータのまま処理したり、所得額の計算を間違えたりと、単純ミスがほとんどだ。

 ただ、緩和措置の導入が決まったのは昨年10月末。「準備期間が短すぎた」「国が作ったシステムが制度に追いついていない」などと自治体側には国への不満も強い。被扶養者から天引きしてしまったある自治体の担当者は、「もう少し早く制度が固まっていれば、データの精査ができた」と話す。

 厚生労働省は「厳しいスケジュールになった面はある。徴収ミスの実態を早急に把握したい」としている。(山田史比古)

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