中国で反仏デモ拡大 「やらせ」は黙認、無許可は弾圧2008年04月20日23時18分 【北京=峯村健司】パリで起きた北京五輪の聖火リレー妨害に抗議するため、中国湖北省武漢市などの仏系スーパー「カルフール」を標的にしたデモは20日、中国各地に広がった。新華社通信は同日、陝西省西安、黒竜江省ハルビン、山東省済南の3市で起きたと報じたが、他の地域にも波及している。中国当局は一部のデモを事実上黙認しているが、遼寧省瀋陽市で市民を連行するなど取り締まりを強めており、無秩序な拡大を抑え込む構えだ。
新華社通信によると、19日に北京、安徽省合肥、雲南省昆明、重慶など各市のカルフール前で抗議デモがあった。20日も西安市で千人以上、済南市でも約100人がカルフールの前に集まり、「チベット独立反対」「北京五輪支持」を訴えた。記事は「公安当局が監視していたので、カルフールの通常営業には影響はなかった」と強調しており、当局のコントロール下だったことがうかがえる。 19日に1万人規模の抗議デモが起きた武漢市では、20日もカルフール前に若者ら数百人が集まったが、まもなく公安当局に排除されたという。 19日のデモの中心メンバーだった自営業の男性は20日のデモへの関与を否定、「我々のデモは中国当局と相談して計画した」として「官製デモ」であったことを認めた。20日のデモは無許可だったため当局が取り締まったと指摘、「当局はある一定のデモは認めるが、無許可のデモには厳しい態度だ」と語った。 北京のカルフール前や仏大使館前は、引き続き公安車両が厳戒態勢を敷いた。いくつかの店の前で数人の若者がデモをしようとしたが、すぐに公安当局に排除された。 こうした中国当局の意向は、主要メディアの報道にも表れる。各主要紙や国営中国中央テレビは各地の抗議運動自体そのものについては伝えていない。新華社も20日夜現在、英語版のみで伝え、国内向けの中国版では報道していない。国内での波及を防ぐ狙いがあるとみられる。 一方で20日付の人民日報は2日連続で、「複雑な国際情勢下に中国は冷静さや知性を示さなければならず、愛国感情を理性的に合法的に表現し社会の安定を維持する」と呼びかける論評記事を掲載。他の中国各紙も自制を求める市民や識者の声を掲載した。 北京の外交筋は「中国当局は、限られた官製デモのみ許可して国外向け報道でフランスに圧力をかけ、高まった若者らの愛国主義のガス抜きをする一方で、これ以上の拡大を防ぐために取り締まりを強めるだろう」と分析する。 PR情報この記事の関連情報国際
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