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【社会】

心臓難手術、奇跡の成功 体重1574グラム 赤ちゃん頑張ったね

2008年4月4日 朝刊

複雑な心疾患を持つ低体重児の手術について説明する新保秀人教授(左)=津市の三重大医学部で

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 複雑な心疾患がある生後1カ月足らずの体重1500グラム余の赤ちゃんの手術に、三重大付属病院(津市)が成功した。この疾患では、普通の体重の赤ちゃんでも手術後に死亡する確率が19%に達するデータもあり「今回のように、体の小さな低体重児で成功した例は国内外で見当たらない」という。同病院が3日発表した。

 手術を担当したのは心臓血管外科の新保秀人教授ら。赤ちゃんは女の子で、2月14日に体重1802グラムで誕生。本来は肺から心臓の左心房につながるはずの肺静脈が、ほかの血管に2カ所以上つながっており、「総肺静脈還流異常」のなかでも複雑な状態の「混合型」と診断された。

 3月10日に手術した時の体重は1574グラム。体外に置いた人工心肺を使いながら、赤ちゃんの直径わずか3ミリの肺静脈をクリ一粒ほどの大きさの心臓の左心房に縫い合わせるなど、4時間かけて血液の流れを正常にする手術を施した。

 術後の経過は良好で、現在はミルクを飲み体重も増加しているという。新保教授は「低体重児は手術中、血液の体外循環の維持が難しい。今回の手法などを学会に発表したい」としている。

 【総肺静脈還流異常】1000人に1人が持つ先天性心疾患の症例のうち1−2%を占める。肺から心臓へ血液を送る血管が正常につながっていないため、肺で酸素を取り込んだ血液がうまく流れず、生後早い時期に手術が必要なケースが多い。

 

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