「先に基地に連れ戻せ」憲兵隊、訓練で指導
組織的に協定違反か
北谷町内で万引したとして店員に捕まった米海兵隊員の息子二人を同隊の憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、同憲兵隊の新隊員訓練では日常的に「県警より先に身柄を取り、基地内に連れ戻せ」と指導されていたことが分かった.複数の海兵隊関係者が十八日、沖縄タイムス社の取材に答えた。(新崎哲史)
日米地位協定では、米軍施設以外での米軍当局の逮捕は「規律、秩序維持の必要範囲内」と制限しており、日本側当局との連携が必要と規定。憲兵隊が隊員への指導段階から協定を無視するような指導をしていた可能性がある。
複数の関係者によると、新しく海兵隊憲兵隊に着任した際、「新隊員訓練」が行われ、日本の法律などを米軍側の担当講師が約二週間にわたって講習する。
日米地位協定に関する講習は海兵隊司令部の法務部所属で、弁護士資格を持つ隊員が講師を務め、「県警と逮捕が同時でも、必ず基地に連れてくるように」などと指導しているという。
新隊員訓練は、年に二度ほど行われており、同様の指導は、少なくとも二年ほど前まで行われていたとみられている。海兵隊憲兵隊は、訓練終了後にキャンプ・フォスター内の憲兵隊本部や中北部の基地内にある出張所に派遣される。
関係者の一人は「米軍は軍人を軍のプロパティー(資産)と考える。日本側が逮捕して、『資産』が奪われる前に取り戻したいという考えがある」と説明。日本人警備員が民間地で銃を携帯した問題を挙げ、「多くの憲兵隊員は地位協定の詳しい内容を知らない。軍人の家族を連れ帰った今回の問題は、一部の上官の都合のよい解釈で、起きたのではないか」と話した。