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県医師会、足並みに乱れ 新制度の「高齢者担当医」 '08/4/18

 後期高齢者医療制度(長寿医療制度)開始で四月改定の診療報酬に導入された「後期高齢者診療料」をめぐり、地域の医師会が会員に「必要な治療が制限される」として請求を控え、新設の「高齢者担当医」にならないよう求める動きが広がり、足並みが乱れている。

 地域医師会を束ねる日本医師会(日医)は「冷静に対処を」と呼び掛け、厚生労働省は「誤解に基づく主張が多い」と困惑顔だ。

 都道府県単位の医師会で動きが早かったのは茨城県医師会。「断固反対」と、同診療料の算定を届け出ないよう会員に訴えている。

 後期高齢者診療料は定額で月六千円。原則として診療所の医師一人が患者の同意を得て担当医(主治医)となり、七十五歳以上の患者を継続的に外来診療する仕組みだ。患者は窓口負担が一割の人は月六百円を支払う。

 医師会の一部は「患者一人に医療機関一カ所は実態に合わない」と批判するが、厚労省や日医は「患者が他の診療所や病院に行けないわけではない。誤解だ」と反論。

 医療機関には「この診療料での請求を選ぶと、検査や処置が重なって六千円を超えたときに『持ち出し』になるのでは」との不安もある。厚労省は「症状が悪化した場合は、同診療料の枠外で出来高算定できる。糖尿病でインスリン注射が欠かせないような患者らは対象外だ」と強調する。

 各地の医師会では、山形県や宮崎県が算定や届け出の「自粛」を呼び掛け。大阪府、兵庫県、山口県などは「慎重に対応を」と文書配布した。厚労省は「医療現場の対応がばらばらで困るのは患者。制度の趣旨を理解してほしい」としている。




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