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橋下知事誕生


補助金削減、橋下知事に集中砲火

市町村長「ルール違反」

涙で「全要望応えられない」

 大阪府の橋下徹知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)がまとめた市町村への補助金削減案を巡り、橋下知事と府内43市町村長らとの意見交換会が17日、大阪市中央区の府庁別館で開かれた。各首長は「弱者切り捨て」「オフサイドとも言えるルール違反」「府庁内部の改革が先決」とそろって補助金削減に反対する姿勢を示した。橋下知事は〈四面楚歌(しめんそか)〉の様相に険しい表情を崩さず、最後は「今までと同じやり方では何も変わらない」と涙をぬぐいながら改革への理解を求めた。

橋下知事
涙ぐみながら大阪府内の市町村長に理解を求める橋下知事(17日午前11時48分、大阪府庁で)=泉祥平撮影

 冒頭、橋下知事は「府だけでなく、大阪全体で財政再建を果たしたい。少しずつの我慢をお願いしたい」と頭を下げた。PT試案では、2008年度は貸付金を含めた市町村関連事業3357億円のうち79億円を削減するとしており、府市長会長の倉田薫・池田市長が各首長に発言を促すと、10人以上から一斉に手が挙がった。

 口火を切ったのは、平松邦夫・大阪市長。高齢者らの医療費助成13億円削減案について、市民1人あたり年1万2000〜4000円の負担増になるとの試算を示し、「弱い人を守ろうという精神が消えてしまっている」とまくし立てた。阪口善雄・吹田市長も「最初から府民に痛みを辛抱してくれというのではなく、まずは府庁内部で血を流すべきだ」とかみついた。

 橋下知事が掲げた08年度の1100億円の収支改善目標にも批判が集中。昨年3月まで府教育長だった府OBである竹内脩・枚方市長は「1100億円削減ありきの思い込みを取り払ってほしい。あまりにも非現実的」と怒りをあらわにし、「知事の命令があれば何をしても構わないのか。直言諫言(かんげん)するのがあなた方の役割では」と、かつての同僚である府幹部にも批判の矛先を向けた。西口勇・守口市長も「府だけが財政再建し、市町村が枯れ果ててもいいのか」と畳みかけた。

 岡本泰明・柏原市長は、知事がかつてプレーしていたラグビーを引き合いに出し、「(司令塔の)スタンドオフの知事がオフサイドをした。ルール違反だ」と指摘。森山一正・摂津市長は「血も涙もない無責任なたたき台は白紙に戻せ」と迫った。

 集中砲火を浴びる形になった橋下知事は、各首長の発言に聞き入り、「PTに指示したのは私。無責任ではなく、白紙にはしない」と主張。最後は目を真っ赤にしながら「すべての要望に応えていては、限られた財源で賄うことはできない」と声を震わせた。

2008年04月17日  読売新聞)
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