レスサスIS 褒めゴロ試乗記

ご注意:この試乗記の内容は大きく偏っています。事実に反する事は書いてありませんが、誇張や想像は大いにあります。
 


この高級感に溢れる雰囲気はベンツやビーエムが逆立ちしても真似が出来ない程に完成されている。
見るからに速そうなフロントビューを見ていると、IS350がBMW M3よりも性能的に上回っているのが良く判る。

日本国内でレスサス店が展開されてから、そろそろ1年半が経過した。 マスコミをはじめとする世間の噂では、レクサスが苦戦と言われている。今やレクサスがベンツやBMW以上の内容であることは世界中で誰もが疑わないのに、なぜ日本人には人気がないのだろうか? 答えは簡単。チョット小金を持っている日本人の多くは見栄っ張りでブラント趣味で、クルマのことなんか判らないからレスサスの良さや、ベンツ・ビーエムの内容の低さを見抜けないからだ。

今回のレクサスは前回の試乗記で取り上げたブルーバードシルフィやカローラフィールダー1.5Gなどと比べて、桁違いの高級車だ。それに販売しているのは、富裕層向け新ブランド誕生と世間を賑わしたレクサスディーラーだから、 入るのには勇気がいる。駐車場はショールームのエントランス正面にあり、高い天井の屋根が付いているから、雨でも濡れることはない。ディーラーの駐車場が屋根付きなんていうのは初めてだ。 8台程のスペースのある正面の駐車場にはクラウンロイヤルサルーンとグロリアが各1台駐車してあった。意外に閑散としているのは、高級ブランド店だけあって、冷やかしの客が居ないからだろうか? そんな駐車場に場違いな車で乗り付けるのは勇気がいったが、図々しく居直って、車をバックで駐車場に入れ始めたらば、何処からとも無くディラーマンらしい人が3人も出てきて、クルマを誘導してくれた。 クルマから降りると、エントランスに案内されて、高そ〜なガラスの自動ドアの奥にはキャビンアテンダント(最近はスチュワーデスとは言わないらしい)のような制服を着た綺麗なお姉さんでスタンバイしていた。 もう、この雰囲気だけで満足して帰ろうかと思う心をグッと堪えて、IS350の試乗希望であることを伝える。それから先はとんとん拍子に話が進み、無事ISに試乗ができたというわけだ。

それでは早速レクサスISに試乗してみよう。今回試乗したグレードはIS350 で車両価格は480万円だから、総額は五百数十万円にも達するだろう。ドアを開けると、そこには信じられないくらい豪華な室内があらわれた。床に敷かれたカーペットはまるで億ションに敷き詰めらているような豪華さで、値段は8万円もするらしい。流石はレクサス、このクラスで世界一のカーペットが使われている。これに比べるとベンツCクラスの純正品なんて一万円代の安物だ。 この高級カーペットが敷き詰められたインテリアにマッチするのが、同じく見るからに高級な表皮を貼ったシートで、ベンツやビーエムなどの安っぽい表皮とは全くことなり、見ているだけで高級感に浸ることが出来る。シートはオプションでレザーシート、しかも最高級のセミアニリンシートも選べる。これに比べればBMWのレザーシートなどは最初からシワが寄っているなど、出来の悪さに唖然とする。1千万を越える7シリーズでさえ革にシワが寄るような貼り方をしているのだから、生産技術の低さ には呆れ果てる。


写真1
リアスタイルも高級感に溢れている。しかも左右から突き出る太い排気管は、BMWでいえばM3クラスの迫力がある。

 


写真2
ISのリアウインドウは完全に下まで下がりきる。ベンツやBMWと全く同じ。

 


写真3
ISはスポーツセダンだから、リアシートの足元が狭いのはスポーツ度が高い証拠だ。現行BMW3シリーズなどは、リアシートの足元を広くした為に、スポーツ性を失っている。

 


写真4
見ただけで溜息のでる豪華な室内。フランス車のお洒落さと、ドイツ車の質実剛健さ、それに日本車の品質の高さを併せ持つ。

 

シートに座ってみると、その柔らさは適度で、ドイツ車のようなガチガチとは一線を画している。シートのアジャストは当然電動式で、同じ価格を出しても手動式のBMW323 iとは訳が違う。 インテリジェントキーを所持していればあとはスターターボタンを押すだけでエンジンは始動する。この時にメーターには一時的に指針のみが浮き出てそれが回転した後に全体が浮き上がってくる。流石はレクサスだ。このクルマのオーナーになると、エンジンを始動するたびに、 この儀式を見る事が出来るのかと思うと、それだけで何時しかレクサスオーナーになることを夢にみてしまう。

早速、走り出すために豪華なセレクターをDレンジに入れて、ふとエンジン音はと思えば全く聞こえない。慌てて回転計を見ると、チャンとアイドリング中である事が判る。これから480万円もするクルマを運転するのかと思っただけで緊張感が全身を走る。 恐る恐るアクセルを踏むと、クルマは滑らかに発進した。ディーラーの構内を抜けて表の道路の手前で一時停止して、合流のタイミングを待つ。この道路は片側2車線の国道でクルマも多いし速度も速い。チョット無理すれば入れそうなタイミングは何度もあったが、 こんな高価なクルマを傷物にしたら大変と思うと、どうしても思い切った合流ができない。やがて、完全にクルマの流れが無くなったのを見て本線に入ってみる。クルマが完全に進行方向に向いたのを 待って、スロットルを半分程踏んでみる。この程度の踏み込みでも上体はバックレストに押し付けられる程に強烈な加速をする。加速時の6速ATのシフトも4000rpmあたりで実にスムースに繋がる。

IS350はV6 3.5ℓ 2GR-FSEエンジンを搭載している。318ps/6400rpm、380N-m/4800rpmという性能は、ポルシェカレラの3.6ℓ、325psと同等だ から、その加速の凄まじいのは想像できるだろう。IS350の直接のライバルと思えるBMW M3は最高出力は343psとIS350より僅かに勝るが、最大トルクは365N-m/4900rpmとむしろ勝っているから、日本の公道上での使用においてはIS350が圧倒的に優位になるだろう。


写真5
ツートーンの洒落たダッシュボードは高級感とスポーティの両面を満足する。
標準装備のナビは流石に日本製の最新型がついている。こういう電子装備は日本が世界一だから
良くて当然でもあるが。
 


写真6
憧れのレクサスマークがセンターに付いたステアリングや鮮やかに光るメーターを見ながらの運転は、正に夢心地だ。 マニュアルシフト用のパドルスイッチでのシフトはまるでF1ドライバーになったようだ。

 


写真7
ATのセレクターは最近では標準的な4ポジション+スポーツモードにマニュアルを備えたティプトロ方式。写真でも判るように、パネルやシフトレバーは実に高級感に溢れた質感だ。

 

最初は500万円もする超高価なクルマを運転するという重圧から、細かい状況を判断できなかったが、15分ほど走行したことで慣れてきたこともあり、今度はマニュアルモードを試すことにする。 セレクターをD位置から右に倒すとSモードとなり、そこから前に押してアップ、引いてダウンとなる。さらにステアリングホイールを握ったままで操作できるパドルスイッチを使えば、まるでF1ドライバーのような操作が可能だ。試乗車は走行 100km程度のマッサラな新車だったから4000rpmまでに留めて加速をしてみた。それでもアッというまに恐ろしい速度に達してしまった。パドルスイッチの反応も良いし、これなら3ペダルのMTなんて設定がなくても全く問題にならない。今度はシフトダウンに挑戦してみる。4速70km/hから左のパドルを素早く2回引くと、実に絶妙なタイミングでシフトダウンをした。これなら、普通のオジサンでも名ドライバー並みの走りが可能だろう。

ISのハンドリングも、これまた素晴らしいの一言に尽きる。ステアリングの反応は中心付近からクイックで、今まで乗ったクルマの中で最もスポーティだ。きっとポルシェなどのスポーツカーもこういう特性なのだろうと納得する。しかもコーナーリング中のロ−ルは殆んど感じない。 今度は多少きつめのコーナーに60km/h程度の速度で入ってみると、普通のクルマなら相当に恐ろしい目にあうところを、IS350なら難なくクリアできる。 しかもコーナーリング中にステアリングを微妙に修正する度に、ノーズがピクピクと反応する。 世間では、ISのステアリング特性が不安定だという人がいるが、成る程、運転技術の未熟なドライバーにはチョット厳しいかもしれない。 この点では、IS350のドライバーはある程度の運転技能が必要だが、500万円もするクルマを買おうという程の決断をするくらいのクルマ好きならば、慣れれば問題なく操作できるに違いない。

クイックな操舵性やロールの少ない足回りから想像できるように、ISの乗り心地は相当に硬い。だから、フワフワした乗り心地こそが高級車だと思っているユーザーには違和感があるかもしれない。しかし、硬いとは言っても、金のかかったダンパーや剛性の高いボディのために一瞬の突き上げはあるが、その後はすぐに収まるから決して不快ではない。


写真8
IS350のV6 3.5ℓ 2GR-FSEエンジン。318ps/6400rpm、380N-m/4800rpmを発生する。
これはポルシェカレラの3.6ℓ、325psと同等だ。

IS350のブレーキはフロントに4ピストンのアルミ製の対向式(オポーズド)キャリパーを装着している。この方式はブレンボーと全く同じだが、レクサスはトヨタオリジナルを使用している。 BMWの場合はM3ですらフローティング方式を採用しており、オポーズドを採用しているのはアルピナのみだ。 この事実からも3シリーズはレクサスISよりもランクの低いクルマであることは間違いない。 このブレーキシステムが何より凄いのは、ベンツでさえEクラスで採用したものの、2度のリコールに至る不具合をだして、遂に最近のMCで普通のメカブレーキに戻した、ブレーキバイワイヤー、要するにフルエレキのブレーキシステムを備えていることだ。このブレーキのフィーリングは抜群で、まず非常に短い遊びの後に剛性感の塊りのような制動感で、踏力は決して大きくはないものの、踏めば踏んだだけの減速度が得られる。聞くところによると、このフイーリングは世界最高と言われているポルシェカレラSのブレーキフィーリングとソックリだとの事だ。

このように従来の国産車とは一線を画すISは、性能以外にもベンツ・ビーエムに十分対向できる機能が目白押しだ。例えば、普通の国産車では一番下まで下げても1/3程度は残ってしまうリアの窓枠は、ISの場合は完全に下まで下がりきる(写真2)。また、国産車のホーンは通常「ビーッ」という音がするが、ISはベンツなどが街中で鳴らしている音と同じだった。
 


写真11(上)
IS350は8J17ホイールとフロント225/45R17、リア245/45R17タイヤを装着する。

写真12(右)
フロントは4ピストンのアルミオポーズドを採用。


 

 

世界のトヨタがドイツの高級ブランドに挑戦すべく、国内でも展開を始めたレクサスチャンネルとしては入門的なポジションを受け持つISではあるが、今回の試乗で最大のライバルであるBMW3シリーズと比べても、大きなアドバンテージを持ったクルマであることが身にしみて感じられた。特にIS350の場合、ライバルは 並みの3シリーズではなく、M3辺りでないと比較が出来ないほどの性能を持っている。他にIS350と比較できるクルマはズバリ、ポルシェカレラだろう。M3やカレラが実際にどんな乗り味かは判らないが、スペック(下表)や写真でみればIS350 が同等であることは容易に判断できる。

            レクサスIS350   BMW M3    ボルシェカレラ
寸法(全長×全幅×全高)mm 4575X1795X1430    4490X1780X1370    4425X1810X1310
車両重量          1600kg     1560kg      1485kg
エンジン          
 総排気量ℓ        3.456        3.245      3.595
 
最高出力        318ps/6400rpm      343ps/7900rpm    325ps/6800rpm
 
最大トルク       38.7kg-m/4800rpm    32.7kg-m/4900rpm   37.8kg-m/4250rpm
 トランスミッション     6AT         6AT        5AT
  価格            480万円      938万円      1160万円

このように書くと、数字じゃなくてフィーリングという人もいるだろうが、しかし、これからの世の中はそうは甘くはない。21世紀はどこの会社も成果主義だから、自分がどんな貢献をしたかを数字で表さなくてはいけない。フィーリング で評価して良い仕事をしたなんていうのは通用しない。これをクルマに当てはめれば上の表を見て、3車の実力は同じと判断され、しかも価格を考慮すればレクサスISがダントツ優秀で、人事査定で言えば間違いなく「S評価」だろう。

レスサスISの480万円は内容を考えれば実に安いのだが、総額500万円を軽く越える車を買うなどということは、我々普通の市民にとっては非現実的だ。 今回の試乗で、確かに最高のスポーツセダンであることは判ったが、現実に買えないものはどうしようもない。そこで、脳裏に浮かんだのがトヨタブランドではあるが、新発売のブレイドだ。これならベースグレードが225万円だから、 無理をすれば何とかなりそうだ。

という訳で、次回褒め殺し試乗記は噂のブレイドを取り上げたいと思っている。
 

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