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立命館、学生取りすぎ 補助金対策?他学部転籍募る

2008年04月14日23時16分

 立命館大(京都市)は14日、この春開設した生命科学部で定員280人の1.48倍にあたる415人が入学手続きをしたため、他学部への転籍を25人募ったことを明らかにした。学部に定員の1.4倍以上在籍していると国からの補助金がこの学部分は出ない。25人はこの基準を下回るようになる人数で、立命館大は「経営的な理由」があったことを認めている。ただ、転籍に応じたのは8人で、1.4倍は下回らなかった。

 文部科学省によると、学部の転籍をめぐる法的規定はない。しかし、同省の担当者は「転籍先の学部を不合格となった受験生もいたわけで、入学直後に転籍させるのは入試の公正性からも良いとは言えない」とし、立命館大から事情を聴き、補助金目当てだった場合に違法性がないかどうかを検討するという。

 同大学によると、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)にできた生命科学部には一般入試で9298人が志願し、2957人を合格とした。入学手続きをした学生は、推薦やAO入試も含め415人に達した。新設学部で過去のデータがなく、読みを誤ったという。

 このため、今月2日のガイダンスで生命科学部の新入生に転籍の話を伝え、3〜7日に受け付けた。薬学部に3人、法学部に2人、経済、経営、理工の各学部に1人ずつ計8人が転籍を希望し、面接をへて全員が認められ、すでに転籍先で授業を受けている。学費の差額は返し、学費が高い薬学部だけ追加徴収する。

 文科省の私立大学等経常費補助金は5月1日時点の学生数などで決まるが、定員の1.4倍以上の学部の分は交付されない。立命館大によると、生命科学部の場合、「何千万円単位」のカットになる見込み。教学部の志磨慶子事務部長は転籍募集について「実験や実習のスペース、設備などが限られているという教育上の理由に加え、1.4倍を下回りたいという経営的な理由もあった」と説明した。93年に文、国際関係、94年に理工、99年に政策科学の各学部でも入学者が定員を大きく上回り、同じ理由で入学直後に転籍を募ったという。

 関西大は07年度、新設した政策創造学部で定員超過率が1.46倍となり、補助金の交付を受けられなかった。同大学広報課は「新設学部はどれだけ入学するかの読みが難しい。でも、読みが外れたからといって転部を学生に求めるのは筋違い」とする。関西の別の私立大の事務担当者は「無条件に近い転籍を許したら、入試の意味とは何なのかと問われ、えらいことになる」と話す。

 ■学生「不公平だ」

 びわこ・くさつキャンパスにいた生命科学部1年の男子学生(19)は転籍募集について「新設された学部で、一度も授業を受けていないのになんで、と思った」。同学部の別の1年の男子学生(18)は「他の学部を希望していた人には良かったと思う。でも、転籍募集がない他学部の学生からすれば、不公平に思うでしょう」と話した。

 京都市北区の立命館大衣笠キャンパスでは、文系学部2年の男子学生(19)が「生命科学部より偏差値の高い他学部に入学直後に入れてしまうのはおかしい。普通は大学に入った後の成績がよくないと転籍できないのに、不公平だ」と憤っていた。

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