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立命館大:転部問題 「補助金目当てだ」 学生、関係者から疑問の声

立命館大びわこ・くさつキャンパス
立命館大びわこ・くさつキャンパス

 少子化で学生確保の競争が激化する中、関西の名門私学・立命館大生命科学部で明らかになった定員超過入学者の転籍(転学部)問題。今春開設されたばかりの学部で予測が難しかった面はある。しかし「さすがにここまで多いと教育の質にかかわるし、外部的にも恥ずかしい」と同大学関係者。そして何より、希望を胸に入学した学生からは戸惑いの声が上がった。 

 同大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)にある生命科学部1年の男子学生(18)は「ガイダンスで転籍に関するプリントが配られた。強制ではなかったが、(約1億円の)補助金カットの説明があっても良かった」と当惑。一方、同1年の女子学生(19)は「大学から『人数が多いと教育が行き届かないから』と説明された。他学部に行きたかった人は良かったのでは」と淡々と語った。

 同大学のある教授は「補助金カットを免れるためだけで、学生のことを全く考えていない行為だ。ここまでもうけ主義に走るのか」と嘆いた。

 大学関係者からは疑問の声も。約8万人の学生を抱える日本大(東京都)では学問分野の人気や地域の情勢を判断して合格者数を決定。「農家の経済力を把握するため、東北地方の米の作況指数まで参考にする。もし超過状態となっても、公平さは一番に守らないといけない」と話す。

 専門家はどう見ているのか。教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「文系理系を問わない転籍奨励は、補助金目当てと取られても仕方がなく、学生に『君たちは頭数でしかない』との誤ったメッセージを与えかねない。立命館は大学改革のリーダー的な存在で、他大学への影響は大きい」と懸念している。【田辺佑介、南文枝、藤田文亮】

毎日新聞 2008年4月14日 大阪夕刊

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