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「思った趣旨と違う」 映画「靖国」に出演の刀匠

2008年04月10日

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」をめぐり、映画の中心的な登場人物で、高知県内に住む刀匠(90)とその妻(83)が10日、朝日新聞の取材に、「思っていたのと違う趣旨で映画が作られていて、『靖国問題』に巻き込まれてしまった」と話し、出演場面の削除などを希望した。

 刀匠によると、05年に李纓(リ・イン)監督側から「出演依頼」の手紙が送られてきた。戦後、伝承されなくなってしまった靖国刀の最後の刀匠として取り上げたい、という内容だったという。刀匠は承諾し、李監督は靖国刀を制作している場面などを撮影した。

 その後、李監督らが自宅に来て映像を見せてくれたが、靖国神社に参拝する小泉首相(当時)とそれに反対する人たちに交じって、刀を作る映像が流れていたため、「これでは撮影を受けた趣旨と違っている」と出演場面と出演名の削除を頼んだという。

 今年3月に自民党比例区選出の有村治子参院議員から、「国会で映画を審議しているからどのように考えているのか意見を聞きたい」という電話があり、刀匠は「出演していることが本意ではないので、名前と映像を省いてほしいし、完成品を見せてほしいと思っている」と伝えたという。

 今回の映画について、刀匠は「靖国刀の伝統技術や美術品としての価値を後世に伝えてくれるものだと思っていた。『靖国問題』と結びつけるものだとは、まさか思っていなかった」と話している。

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