75歳以上のお年寄りを対象に1日始まった後期高齢者医療制度をめぐり、九州の各自治体で、制度開始前の1‐3月に亡くなったり転出したりした人にも保険料を年金から天引きする通知書が発送される事例が相次いでいる。保険料は年金給付日の15日に天引きされる見込みだが、各自治体は徴収対象外の保険料は「速やかに還付する」としている。
熊本県後期高齢者医療広域連合によると、75歳以上の高齢者が1カ月に約1000人亡くなる同県では2000‐3000人の故人に通知書が発送され、保険料が天引きされる可能性があるという。佐賀県唐津市で155人、福岡県田川市でも76人の故人や転出者に通知書を発送したことが確認された。全国的にも同様の事例が相次いでいる。
厚生労働省などによると、制度導入前の今年1月、各自治体が社会保険庁に制度対象者のデータを通知した。各自治体から今月初旬に発送された保険料の「仮徴収額決定通知書」は、当時のデータを基にしているため、故人や転出者にも発送されてしまったという。
社会保険庁が処理するデータが膨大となるため「いったん通知したデータの変更は受け付けられなかった」(佐賀県の自治体)という。厚労省の担当者は「介護保険制度でも同じようなケースが生じている。現在のシステム上、避けられない」と理解を求めている。
通知を受け取った家族らの混乱を避けるため、唐津市や福岡県久留米市などは、還付手続きなどについて説明した通知書の送付を始めている。
=2008/04/10付 西日本新聞朝刊=