「手話で学ぶ」ろう学校、東京に開校
耳が不自由な子どもたちが通う、ろう学校。これまでずっと聞こえる人と「同じように」話せることを目指してきました。しかし9日、事実上認められていなかった「手話で学ぶ」学校が全国で初めて誕生しました。
9日開校したろう学校「明晴学園」。手をヒラヒラさせているのは「拍手」を意味しています。
生徒は耳が聞こえない3歳から10歳の子どもたちで、全国初めての試みの学校です。
何が「全国初」かというと、すべての教科を日本手話で教え、日本手話で学ぶこと。従来のろう学校では実現できなかったカリキュラムが導入されているのです。地元で9年間続いたフリースクールを引き継ぐ形ではじまりました。
これまでのろう教育は、補聴器などで聴力を補い、日本語の聞き取りや発声の訓練を行う「聴覚口話法」が主流で、「手話」は事実上、認められてきませんでした。
「耳の聞こえる人にとって日本語が必要であるように、ろう者にとって手話は生きていくのに必要なものです」(明晴学園 米内山明宏 理事長)
障害がない人と「同じように」話せるようになることが求められてきたろう教育。ついていけない子どもたちの受け皿は、卒業資格を得ることが出来ないフリースクールだけだったのです。
ろう学校ではあまり喋らなかった子が、手話を認められると「饒舌」になることもあるといいます。
「自分の言葉でいろんなことを考えられる人間になってほしいというのがありましたから、手話で授業をやってもらえるのは、うれしくて感無量です」(保護者)
こうした現状を踏まえ、東京都が「手話によるろう教育」という教育特区の構想を打ち出したことで、明晴学園の設立が実現したのです。
「入学式を楽しみにしていたけど、疲れちゃった。教科書をもらって読むのが楽しみです」(山中美侑さん、7歳)
設立資金の多くは全国からの寄付に頼っていて、まずは幼稚部と小学部からのスタートですが、将来は中学生も受け入れられるようにしたいとしています。(09日15:47)