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大阪出店は統合の試金石 三越伊勢丹HD
三越伊勢丹ホールディングスが生き残りに向け、大きく舵(かじ)を切った。8日、三越が出店予定だった大阪店について、「ジェイアール大阪三越伊勢丹」として出店すると発表。運営はジェイアール西日本伊勢丹で、実質的に伊勢丹が主導する。三越としては投資負担を軽減し、銀座店や日本橋店など首都圏に注力できる。成功すれば統合の象徴となるのは間違いない。ただ、競争は激しく、両社の溝も深まれば、諸刃の剣になる可能性もある。
三越にとって、平成17年に閉店した大阪への再出店は悲願。しかし、三越全体の業績が低迷する中、投資額は大きく、ホールディングス内部でも「(売り場作りなど)三越単独でできるわけはない」(幹部)という声は根強かった。
今回、伊勢丹とJR西日本が出資するジェイアール西日本伊勢丹が運営主体となることで、投資負担を抑制。ジェイアール京都伊勢丹で培ったノウハウを応用し、伊勢丹が強みを持つファッションのイメージを強調する。ホールディングスとしてはジェイアール西日本伊勢丹への出資を高める方針で、関西の基盤強化も見据えている。
ただ、伊勢丹も三越も関西で知名度が低いのは事実。京都伊勢丹は開業以来、好調が続くが、大阪駅周辺はメンズ館をオープンした阪急、阪神百貨店や大丸などがひしめき、「明らかにオーバーストア」(大手百貨店幹部)と指摘される。
大阪店のスタッフはジェイアール西日本伊勢丹を運営する伊勢丹出身の社員らが中心になる可能性が高い。伊勢丹ののれんで出店するといううわさも流れた中、名前が残ってメンツを保った格好の三越の社員と協力して、他店を上回る店を作ることができるか。「三越伊勢丹」の試金石となるのは間違いない。