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給食費滞納対策で全保護者から誓約書…前原市支払う能力があるにもかかわらず、支払わない保護者への滞納対策が急務となっている学校給食費問題。前原市は、保護者が一定期間、支払わなければ、その児童・生徒への給食を停止する「誓約書」を提出させるという厳しい手段に踏み切った。しかし、学校や家庭との信頼関係やその実効性など、依然、課題は残っている。 「そんなに信用されていないの?」。中学生と小学生の子どもを持つ前原市の主婦(40)はプリントの文章に目を疑った。「給食費支払いに関する誓約書」。給食費の支払いが3か月分以上遅れ、学校から給食停止を受けた場合は、弁当を持参することに同意を求める内容だった。 前原市には、市立小が9校、市立中は、前原、前原西、前原東の計3校がある。小学校と前原東中では従来給食だったが、1月から前原、前原西でも給食を始めた。 これを機に、同市教委は、誓約書の署名を全保護者に求めることに決めた。当初は中学校だけで行う予定だったが、小学校側からも要望が上がり、市内の全小中学校で集めることになった。県教委は「誓約書の提出まで求める例はあまり聞いたことがない」という。 というのも、同市でも給食費の滞納問題が深刻化しているからだ。2006年度の学校給食費の滞納額が小学校で215万円、前原東中で59万円の計274万円。小学生の給食約1万3000食分をまかなえる金額だ。滞納率(金額ベース)は小学校が1・03%、中学校が1・27%。いずれも全国や県平均(05年度)を上回った。 徴収法は学校ごとに異なるが、集金に比べ、口座振替の方が滞納率が高く、教職員が手紙や家庭訪問で再三、督促しても応答すらないなど悪質なケースもあり、市教委は段階的な督促手順を定めたマニュアルも作成した。 前原、前原西中では、停止措置をとる事態には至っていないといい、担当者は「一定の効果があるようだ」と分析。4月から適用される他校についても、滞納減に期待を寄せる。 ◇ 昨年9月から給食を開始した二丈町の二丈、福吉両中でも、PTA総会での発案をきっかけに、同意書の提出を求めた。支払いが遅れたケースはあったものの、3月末には全保護者が完納。担当者は「保護者が厳格に受け止めてくれた結果」と効果を実感している。 両市町では、経済的な事情で支払えない家庭には、給食費の全額や半額を補助する制度もある。前原市では毎月の給食費(中学4400円、小学校3700円)のうち一部でも入金して支払う意思を示せば、停止措置はとらないとしており、合理的な理由なく滞納するケースをなくすのが狙いだ。 ◇ ただ、こんな方法に対し、関係者の間で抵抗感がないわけではない。 保護者の中には、「誓約書まで取る必要があるのか」などと、学校側に不信感を募らせる人も少なくない。 市教委に対策を求めた学校関係者も苦渋をのぞかせる。ある小学校長(57)は「児童が給食をとめられ、負い目を感じるようなことになれば教育的に問題がある。そういう事態にならないよう学校としても全力を尽くしたい」と話す。 一方で、福岡市教委は、支払う能力があるのに滞納する保護者に対し、裁判所への申し立てなどの法的措置に踏み切る方針を示している。 前原市教委の担当者は「税金の滞納とは訳が違うデリケートな問題」と対応の難しさを語る。市教委や学校が支払いを求め、あらゆる努力を尽くす以前に、保護者が責任を全うすることが重要なのは言うまでもない。
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