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中国の人権活動家・胡佳氏、懲役3年6カ月の実刑

2008年04月03日11時52分

 【北京=坂尻信義】昨年12月に国家政権転覆扇動容疑で逮捕され、3月初旬に起訴された中国の著名な人権活動家の胡佳氏(34)に対し、北京市中級人民法院(地裁)は3日、懲役3年6カ月、政治権利剥奪(はくだつ)1年の実刑判決を言い渡した。同氏の弁護士が明らかにした。弁護士によると、胡氏が書いた文章6編の内容と外国メディア2社の取材を受けたことが「国家政権転覆扇動罪」に問われ、時効となっている1編を除く5編とメディア2社の取材に応じたことが有罪とされた。

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胡佳氏

 弁護士は判決後、「胡氏の言論が罪に問われた。判決は重すぎる。無罪と信じている」と述べ、控訴する方向で胡氏やその家族らと検討する考えを示した。罪に問われた文章については、中国が香港やマカオに適用している「1国2制度」への論評などが挙げられたという。

 胡氏の逮捕に対しては、欧州議会が1月に釈放を求める決議を採択し、ライス米国務長官も2月の訪中時、懸念を表明していた。人権擁護を訴えた胡氏の「言論」を標的とした今回の有罪判決で、北京五輪を目前に控えた中国に対し、国際社会の批判がさらに高まることは必至だ。

 胡氏は北京出身。大学時代からエイズウイルス感染者らの権利擁護運動に取り組み、次第に活動の幅を広げた。ここ数年は厳しい監視下に置かれたが、中国の活動家のスポークスマンの役割を担ってきた。

 胡氏の逮捕について、中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は3月に記者会見で質問を受けた際、「中国は法治国家。北京五輪を前に意見の異なる人を逮捕することはありえない」と述べていた。しかし、中国では司法も共産党の「指導」を受ける。今回の判決も、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部の意向が反映されたものとの見方が一般的だ。

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