米兵らの犯罪相次ぎ摘発 「基地の町」三沢も怒り

飲酒ひき逃げ事件など不祥事が相次ぐ米軍三沢基地
 青森県三沢市の米軍三沢基地所属の兵士らによる事件が今月、相次いで摘発され、青森県民に怒りや不安が広がっている。現職兵士(23)が酒飲み運転とひき逃げなどの疑いで書類送検されてから1週間もしないうちに、元兵士(21)がひき逃げ容疑などで逮捕される異常事態。元兵士(26)が2006年に日本人の元妻=当時(33)=を殺害した凶悪事件が記憶に新しく、地元の人々には「沖縄だけが『基地の町』ではない」との思いが募るばかりだ。

 「通院で7日も仕事を休まなければいけない。職場まで車で30分はかかるのに、復帰しても車は使えなくなった」。16日未明、自称アルバイトの元米兵にひき逃げされた十和田市のパート女性(44)が憤る。

 女性は首にけがをし、車は部品が道路上に散乱するほど大破した。元米兵はそのまま逃走し、素知らぬ顔で知人方で酒を飲んでいたという。知人方そばには自分の妻所有の壊れた車があった。知人も元米兵の運転を認めているのに、「自分は運転していない」と供述しているという。

 同様の事件がわずか6日前に立件されたばかりだった。酒気帯び状態の現職米兵が昨年10月14日朝、駐車場から車を出そうと後進させた際、三沢市の無職男性=当時(62)=をはね、頭にけがをさせて逃げた容疑で書類送検された。「運転していたのは知人だ」と主張しているという。

 ほかにも、元兵士が元妻を殺害して車ごと火を付けた殺人、死体遺棄事件(06年7月)、兵士3人が絡んだブロンズ像の窃盗未遂事件(07年5月)と、基地関係者の犯罪が続発している。

 基地と共存してきた地元は、基地の経済効果に頼らざるを得ないとはいえ、沖縄でも女子中学生暴行など米兵による事件が相次ぎ、怒りが一段と高まっている。三沢基地周辺町内会連合会の岩本芳勝会長(70)は「基地関連の犯罪がさっぱりなくならないし、最近のひき逃げは特に卑劣だ」と怒りをあらわにする。

 三沢市選出の小桧山吉紀県議は県議会2月定例会の文教公安常任委員会で、この問題を取り上げた。「基地内までは捜査されないと思うのか、米兵らは犯罪への意識が低い。沖縄県でのこともあり、地元住民は非常に不安がっている。県警は『悪に国境はない』という厳粛な態度で臨んでほしい」と訴える。
2008年03月25日火曜日

青森

社会



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