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【主張】新指導要領 国歌を「歌える」のは当然
小中学校の新しい学習指導要領が官報で告示され、道徳教育で愛国心をはぐくむことや、国歌を歌えるよう指導することなどが明記された。公教育で身につけるべき当然の指導内容だ。
告示された学習指導要領は、2月に公表された指導要領案に広く意見を求め、それを参考に手直しされた。
主な修正は、道徳教育について総則で掲げた目標に「わが国と郷土を愛する」ことを加えた。国旗・国歌の指導では小学校の音楽で、君が代は「歌えるよう」指導するとした。
また国語では古典学習の一環として読み聞かせで、昔話のほか「神話」も例示した。
修正によって明確化されたこうした指導内容は、戦後の学校教育でおろそかにされてきた。
教育現場では愛国心育成などに対して反発がある。卒業・入学式にしても一部の教職員が国旗掲揚、国歌斉唱を妨害するような行為が依然としてある。
今年の卒業式でも大阪府門真市の中学校で国歌斉唱のとき、それまで起立していた生徒が次々に座る問題が起きた。
一部の教員が国歌斉唱時の不起立を促していた可能性があり、起立して斉唱した卒業生は1人だけだったという。門出を祝う厳粛な卒業式にそぐわない光景だ。
教育基本法が改正され、幅広い知識や教養とともに、公共心や規範意識を育てることが重視された。戦後教育の弊害が見直されようとしている。
今回の修正に対しても教職員組合の日教組や全教は「愛国心押しつけ」などと批判している。
しかし、自分の生まれ育った国や郷土について深く知ることは他国をも尊重することにつながる。自国に誇りを持ち、情報発信していく人材を育てる教育は、国際化のなかで必要性が増している。
国づくりの歴史や先人の伝記など、祖父母や親から世代を超えて伝えるべきものがなかなか伝わらなくなっている今だからこそ、学校教育での指導が期待されているのである。
新指導要領ではゆとり教育を見直し、授業時間や学習範囲を増やした。知、徳、体ともバランスのとれた人材育成がねらいだ。
指導要領改定の趣旨を理解せず、妨害したり形骸(けいがい)化させることはもうやめるべきだ。公教育再生へ意識を変える必要がある。