展示デザイナー・木下史青(きのした しせい)、42歳。
東京国立博物館で、照明、配置、保存など展示に関する総合的なプロデュースをしている。どのような照明にすれば客はその作品をより長く見続けるのか、どのような配置にすればより惹きこまれていくのかを考え、演出するのだ。
木下は「日本で初めて」の博物館展示デザイナー。これまで地味な存在だった平常展を、多くの人が足を止め見入ってしまう空間に作り上げ、話題の展覧会を数多く成功に導いていった。
そんな木下が手がけているのが、3月25日からの「国宝・薬師寺展」。今回の目玉は、国宝日光・月光菩薩立像が初めて揃って寺外で展示されること。薬師寺のお坊さんから「背中がとても美しいので」と聞かされた木下は、普段は一般の参拝客が決して見ることの出来ないその背中を、どのようにして客たちに披露するのだろうか?会場のデザイン、照明の方法など試行錯誤を繰り返しながら、オープニングを迎えるまでの木下を追う。