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<平城遷都キャラクター>審査費「ひこにゃん」の5倍 情報公開も不十分

3月29日20時56分配信 毎日新聞


<平城遷都キャラクター>審査費「ひこにゃん」の5倍 情報公開も不十分

平城遷都1300年祭のマスコットキャラクター

 県などでつくる平城遷都1300年記念事業協会が2010年に開く「平城遷都1300年祭」のマスコットキャラクターが話題を呼んでいる。注目が高まったきっかけは市民から「可愛くない」などの意見が続出したこと。だが、批判の声は好き嫌いにとどまらず、選定過程の非公開性や費用が高すぎなかったかという点にまで広がっている。協会はこうした声にしっかり応えているだろうか。【中村敦茂】

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 今月14日、協会のホームページに批判などに対する「協会の考え方」が掲載された。7ページにわたる文書で選定プロセスや費用にも言及している。

 文書は選考について、電通、博報堂、アサツーディ・ケイの大手広告代理店3社からデザイナー12人の21作品の提出を受けコンペを実施し、識者ら10人のデザイン選定委員会で選んだと説明。一般公募でなかった理由は、事業趣旨や県の特性にマッチし、全国的な訴求力も備えた作品とするため「専門性を持つデザイナーへの依頼が適切と判断した」という。

 ここまでは理解したとして、市民の間には、今年2月に「決定済」のキャラクターがいきなり公表されたことへの不満もある。水面下で作業が進み、経過が明かされない理由は何だろうか。

 これについての文書の説明は、▽氏名や作品の公表は応募デザイナーの評価に深くかかわる▽審査委員による円滑な議論・審査を促進する必要がある▽類似事例や民間では公表されないことが一般的−−としている。しかし、例えば映画祭でノミネート作品が匿名とは聞いたことがないし、建築デザインなどでは選ばれなかった作品も公表される例がある。非公開の会議でも、終了後に概要が公表されることはざらだ。

 一方、費用に関して、文書は「民間企業の実態を踏まえ」、コンペ参加料として3社に518万円を支出。選んだキャラクターの著作権買い取りに、他の地域イベントや民間事例を踏まえて500万円を払ったと説明する。例として、浜名湖花博350万円程度、のじぎく兵庫国体50万円程度(一般公募の賞金)、愛・地球博600万円程度、国宝・彦根城築城400年祭100万円程度と挙げている。

 ところが、この説明も疑問だ。例示されたうち奈良より高いのは「モリゾー」と「キッコロ」の愛・地球博だけだが、こちらは国際博でイベントとして格上。愛・地球博は会場整備費以外は入場料など営業収入で賄っており、税金を使った奈良のケースとそのまま比較するのは乱暴だ。彦根の100万円は、マスコットの「ひこにゃん」だけでなく、シンボルマーク、ロゴタイプとの3点セットの価格だ。こうしたことを知らせずに比較するのはフェアでないだろう。

 協会は職員の半数以上が県からの派遣。資金負担も県が中心だ。事業のリーダーシップは間違いなく県なのだが、協会が一応は別組織となっているため、いったん県などの負担金として支出された公金の細かい使い方まで監視の目が届きにくい。直接の情報公開請求の対象にもなっていない。県としては、協会を「隠れみの」にすることもできるわけで、今回のマスコット騒動から、その危険性も見えてきたと思う。事業に不信の目を向けられないようにするためには、徹底した情報公開と誠実で十分な説明が欠かせない。

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最終更新:3月29日21時42分

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