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au携帯「W42K」の電池発火、回収へ 京セラ機種

2008年03月29日02時08分

 KDDIと京セラは28日、京セラが製造したauブランドの携帯電話「W42K」のリチウムイオン電池パックの一部が発火したり破裂したりしたため、約21万個を回収・交換すると発表した。昨年10月以降に全国で13件の事故が確認され、北海道と青森、宮城の両県で計3人がやけどを負った。じゅうたんが焦げる火災も、やけどの青森の事例と愛知県で1件ずつ発生している。

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電池の製造番号表示位置

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W42K(KDDI提供)

 W42Kは06年6月の発売で、回収対象は全国で現在使われているW42K21万4349台すべての電池パック。使用中にパックに傷やへこみができると内部でショートしやすく、発熱・膨張して発煙、発火・破裂の可能性があるという。電池内部はNECトーキン、外装は京セラが製造した。

 KDDIは利用者全員に書面で知らせた後、問題のない電池パックを郵送し、使用済みパックを返送してもらう。問い合わせ先は0077・7・111。

 不具合の原因を巡っては、主張が対立している。KDDIと京セラは、発売後間もなくNECトーキンが電池の持続時間を長くするため内部構造を変更し、傷やへこみへの耐久性が落ちた、としている。

 これに対し、NECトーキンは、電池内部は「京セラから求められた仕様に従って製造し、事故後の解析でも問題点は見つかっていない」と反発している。

 NECトーキン製の電池は07年6月にも、au携帯で発熱して膨らむ可能性が判明し、約3万4000個を回収・交換した。今回の事態を受け京セラは当面、NECトーキンとの取引を停止し、補償を求める方針だが、原因や責任を巡り対立が長引く可能性もある。

 携帯電話の電池パックの発熱事故は06〜07年に三菱電機製端末のパック(三洋電機製、国内130万個対象)、ノキア製端末のパック(松下電池工業製、世界4600万個対象)などで多発。07年9月には総務省が、携帯各社に安全性の総点検を要請している。

■公表先送りの間に被害

 3件のやけど被害のうち、今月18日に発生した3件目は、KDDIと京セラが原因を特定してから4日後だった。入学・就職で携帯電話が一年で一番売れる季節。21万台におよぶ大量の交換用電池パックをどうやって確保するかの算段を優先し、ユーザーに注意を呼びかける公表を先送りした間に、新たな被害が生じた。記者会見で両社は「対応の遅れを反省している」と謝罪した。

 破裂や発火は昨年10月以降、毎月発生していた。昨年11月には北海道で最初のやけど被害があった。

 ジャージー姿でくつろいでいた女性がポケットに入れていた携帯電話が突然発火、ジャージーが焦げた。女性はあわてて電話機を取り出し、火を消し止めようと踏んだため、足にやけどをした。

 今年1月10日には青森県で就寝中の女性が枕元で充電していた携帯電話が破裂、女性は左腕に全治1週間のやけどを負った。これ以降、各地で破裂や発火・発煙が立て続けに起き、KDDIと京セラも欠陥を疑って本格的な調査を始めた。

 今月14日には、ユーザーの使い方の問題ではなく、電池内の絶縁シートが劣化してショートするのが原因と特定できたが、ただちには公表しなかった。「交換用の電池パックの数をそろえてから発表しようと考えていた」(井上正広・KDDI執行役員常務)ためだ。対応のめどがたったとして、この日の公表となったという。

 その間の18日に、宮城県で男性がズボンの右ポケットに入れていた携帯電話が急に発熱、ズボンが燃え、男性は太ももにやけどをした。この前日にも、秋田県で、充電中の電池パックが破裂していた。総務省は「利用者への情報提供が全くなかったことは大きな問題」とし、KDDIに対して速やかな周知や再発防止を指導した。

 多機能化する携帯電話の縁の下の力持ちは高性能なリチウムイオン電池だ。その高性能ゆえエネルギー密度が高く、発熱すると温度は最高で500度に達するという。

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