成立した特許の全文を公開します。
【発明の名称】
コンピュータを用いた漫画の製作方法及びその方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 CPUとメモリを備えたコンピュータと、命令入力装置及びデータ入力装置を有する入力装置と、ディスプレイ装置を含む出力装置とから成り、前記ディスプレイ装置に出力されるモニタ画面を見ながら前記入力装置によってOS及びアプリケーションソフトを介してCPU及びメモリへの入力操作を行なうコンピュータシステムを用い、 前記アプリケーションソフトには、(イ)頁面全体をそのまま一つの単位区画とするか、頁面内を複数に平面分割して分割された各個を単位区画とするか、頁面上に複数の区画面を重層させそれら各区画面を単位区画とするか、のいずれかによる任意のコマ面を設定する画面制御ソフトと、(ロ)頁面のコマ面の内部又はその内部から外部へはみ出して、任意の位置に任意の形状の吹出し面を設定する画面制御ソフトと、(ハ)頁面に設定したコマ面と吹出し面に漫画の絵と字を書込むグラフィクス支援ツール、データベース支援ソフト、デバイス支援ツール、画面制御、データ転送、図形プロセッサ、ワードプロセッサ等のソフトと、を組込んだ漫画製作ツールを使用し、 前記入力装置によって前記CPU及びメモリへ命令及びデータを入力しつつ前記モニタ画面上で、見開き両頁面又は一頁面にコマ面と吹出し面を設定して、その中に漫画の絵と字の書込みを行なうことを特徴とするコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項2】 コマ面と吹出し面の辺縁の周囲の全部又は一部に、任意の幅で任意の形状の枠線を設定できるようにしたことを特徴とする請求項1のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項3】 周囲の枠線を決めるコマ面と吹出し面の辺縁の形状を、あらかじめ製作して登録しておいた複数の形状の中から選択して自由に使用できるようにしたことを特徴とする請求項2のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項4】 絵と字のデータの移動が他のコマ面と他の吹出し面との間でも行なえるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項5】 絵のデータが、三次元立体データであり、メモリに記憶格納した前記三次元立体データを呼び出し、任意の視角を選択してその絵をコマ枠内に書込みできるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項6】 データ入力装置に画像入力装置を有し、入力した画像を、頁面又はコマ面に書込めるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項7】 音声入力装置と音声出力装置を有し、入力された音声のデータを頁面、コマ面及び吹出し面に書込みしてメモリに記憶格納し、モニタ画面の一区画、頁面内の一区画、コマ面内、コマ面内の一区画、絵内の一区画、吹出し面内、吹出し面内の一区画、又は字上を音声データの出力命令ポイントとし、それらの指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると音声出力装置から音声が出力されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項8】 作成して記憶格納した任意の頁面とコマ面の両方又はいずれか一方のデータをモニタ画面に呼び出してその画面を下書き面とし、その下書き面に描かれた絵、画像及び字を透視可能に上書き面に重ね、その上書き面に下書き面の絵、画像及び字を透視しながら書込めるようにし、絵と字を書込んだ上書き面を残して随時に前記下書き面を消去できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項9】 入力装置及び出力装置にモデムを有し、通信回線を介して他のコンピュータシステムからの出力及び入力を行なってプログラム及びデータの遣り取りを行なえるようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法。
【請求項10】 頁面内にコマ面と吹出し面を設定して漫画の絵と字の書込みを行い、頁番号とコマ番号を付与してメモリへ記憶格納させて完成した漫画を、頁番号及びコマ番号の最初の番号からか又は任意の番号から正順又は逆順に転換できるように設定して、番号順に頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法。
【請求項11】 モニタ画面の、任意の分岐選択可能な区画を含む番号の頁面、コマ面又は吹出し面の任意の指定した分岐選択区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると、その番号の画面内から別系列の番号の画面に分岐移動して異なるストーリーの展開が始って、そのままモニタ画面を見て頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法。
【請求項12】 モニタ画面の頁面内の任意の指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると、音声付き動画映像又は音声が出力され、任意にキー又はマウスを操作すると元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項7乃至11のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法。
【請求項13】 モニタ画面の頁捲り又はコマ送りの速度を定速に又は頁毎に設定し、さらにその設定速度を任意の速度に早送り及び遅送りできるように設定できるようにし、前記頁捲り又はコマ送りを自動的に行なえるようにしたことを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータを用いた漫画の製作方法及びその方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年日本の漫画は世界の人々に幅広く読まれ親しまれている。そして今や、単にでき上がった漫画を読むことから、自らも思想、信条、感情、感覚等を表現するための手段として漫画を書きたいと望む人が増加している。 それは、漫画が映画、文学、絵画等の既存の表現方法とは異なる特異で豊富な表現形態をとれることが認識されて微妙な感情表現も可能となったからでもある。
【0003】 そして、単なるナンセンスギャグ漫画から文学、経済、哲学、数学、宗教、歴史、科学、医学、政治の高度な表現を要する書籍まであらゆるジャンルの漫画本が刊行されるに至り、この高度化、多様化の傾向は現在益々進行しつつある。 最近では、企業が商品を分かりやすく知らせるために、広告、バンフレット、カタログ、商品説明書、商品取扱書、会社案内、新商品の案内など業務的な説明に漫画を使用するケースが多くなるなど漫画の用途が広がっている。
【0004】 日本で漫画に多様で特異な表現形態が産み出されたのは、戦後の道徳・思想・観念的・心理的に束縛されない雰囲気があり且つかなりの表現の自由があったからである。 そして、紙という二次元的空間に、思想、宗教、道徳等の社会的・文化的制約も受けずに自由奔放な音、色、形、味、触感、等の五感の表現形態及び現実を超越する空間的表現、時間的表現手法を確立することができた。 また大脳生理学によれば日本語という言葉は、図形認識と言語認識が密接に関わった左右の脳を使う特殊な言葉であり、漫画はまさに日本語にピッタリとする表現様式ではないかと考えられている。 現在の多様化されて、しかも規則性がある漫画の表現手法自体が発明者の特定されていない偉大な発明ともいえる。
【0005】 そして、漫画の製作は、通常は漫画作者が絵を書き、これを出版者が編集して本が作られる。 漫画作者は、具体的には紙に構想したシナリオに基づいてコマ割を書き、その中に一場面毎に筆記具を用いて絵を描き込んで製作している。 そして製作する時間に余裕がない時などは、助手にべた塗りや着色など簡単な部分を代行して描いてもらうこともある。 その漫画においての言葉の表現は、絵の中での言葉を発する者のところから吹出し(話し手や、話し手の口許などへ鋭角線を向けて他の部分を丸い線で囲った部分)を囲ってその中に発する者の会話、思考内容などを文字(活字等)で表現することが多い。 強調する場合にはコマ割をはみ出して大きく文字が書かれることもある。
【0006】 また日本では擬態語、擬声語が数多く作り出され発達している。これは絵の上に上書きされて絵の中に溶け込むように文字で表現されることが多い。 また擬態語、擬声語と同様に文字とも絵とも言えない形喩も数多く作り出され微妙な心理描写の手法が独自に発達してきた。
【0007】 また、これまでは、創作された漫画から映画的な手法に、即ちアニメーション化することが多く行なわれている。そして、日本のアニメーションは海外で多く人々に親しまれている。 漫画をアニメーション化するには画面を連続的な動きに見せるために多くの原画を手間暇掛けて製作しなければならない難点があるが、その作業自体には創作力はあまり要求されるものではない。
【0008】 しかし、アニメーションの基となる漫画を製作することは、創造力、創作力が必要で、本人の才能がそのまま表現されるものであり、才能がないと読者を惹き付けるものは容易にはできない。 また、豊富な表現手法に魅せられてなんとか漫画を書きたいと思っても、一般の人では描写力や表現技術が乏しく且つ表現するのには手間暇がかかるので殆ど製作することはできないのが実態である。
【0009】 このような状況の中で、コンピュータを用いて漫画を製作しようとしても、これまでは絵や図形のデータを大量に扱うにはコンピュータのメモリの記憶容量があまりに少な過ぎ、またCPUの演算スピードが極めて遅かったので漫画の画面をデータとして大量に書込み、また各種のソフトを駆使して絵や図形や映像の画面加工を行なおうとするには大変困難で、事実上不可能なことであった。
【0010】 しかし、今日ではOSやグラフィクス、データベース、マルチメディア等各種のアプリケーション支援ソフトが充実し、それらを用いた多様なアプリケーションの開発が容易となっている。 また、画像処理技術も進化して小メモリでも大量の処理ができる文字や図形のデータ圧縮技術も大きく進歩した。 そして各種の、ワードプロセッサ、表計算、仕事管理用のソフトや設計ソフト(CAD)、図形製作ソフトなど画像処理技術のアプリケーションソフトが充実しほぼ出そろって完成の域に近付いている。 またコンピュータゲームなど使用用途が大きく広がり、その上に誰でも専門知識なしに容易にコンピュータを使用できるようなシステムが開発されてきたので一般家庭への大容量で高速性能の安価になったコンピュータが目覚しく普及している。
【0011】 また、現在大量に漫画雑誌が発行されていて、読み終った大量の雑誌が次々に捨てられている。このような実情のもとで、ディスプレイ装置で漫画を見られるようになることは、紙資源の浪費の防止にも役立つものであると考えられるが、漫画は現在モニタ画面で見られるようには製作されていない。 一方、通信面においては、パソコン通信やインターネット等の通信回線でのコンピュータを介しての画像や文字データの遣り取りがここ数年で急激に盛んになってきている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、コンピュータを用いて漫画の製作がだれでも簡単にできる方法と、その製作方法で作られたマルチメディアタイプの電子的漫画をモニタ画面で見ることのできる方法を提供するものである。
【0013】 そして、コンピュータを介することによって、新聞、雑誌、写真、ラジオ、テレビ、ビデオ、カメラ、CD、DVD、録音テープ、通信等各種メディアの情報を利用して、漫画の表現手法を現在の紙面という二次元に制約された疑似三次元的表現手法はもとより動画、音声をも取込み、さらには迷路的なストーリーの展開をも可能にして思考の複雑系へと飛躍的に表現手法を高めるとともに、手間暇かかり、描写力の必要な手書き部分をデジタル画像に置き換えてメモリに記憶したデータを何度でも使用再加工できるようにして誰でもが簡単に漫画を製作できるようにする手段を提供し、これによって完成した漫画をだれでもがモニタ画面で楽しむことができるようにするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、請求項1においては、CPUとメモリを備えたコンピュータと、命令入力装置及びデータ入力装置を有する入力装置と、ディスプレイ装置を含む出力装置とから成り、前記ディスプレイ装置に出力されるモニタ画面を見ながら前記入力装置によってOS及びアプリケーションソフトを介してCPU及びメモリへの入力操作を行なうコンピュータシステムを用いる。
【0015】 前記アプリケーションソフトには、(イ)頁面全体をそのまま一つの単位区画とするか、頁面内を複数に平面分割して分割された各個を単位区画とするか、頁面上に複数の区画面を重層させそれら各区画面を単位区画とするか、のいずれかによる任意のコマ面を設定する画面制御ソフトと、(ロ)頁面のコマ面の内部又はその内部から外部へはみ出して、任意の位置に任意の形状の吹出し面を設定する画面制御ソフトと、(ハ)頁面に設定したコマ面と吹出し面に漫画の絵と字を書込むグラフィクス支援ツール、データベース支援ソフト、デバイス支援ツール、画面制御、データ転送、図形プロセッサ、ワードプロセッサ等のソフトと、を組込んだ漫画製作ツールを使用し、 前記入力装置によって前記CPU及びメモリへ命令及びデータを入力しつつ前記モニタ画面上で、見開き両頁面又は一頁面にコマ面と吹出し面を設定して、その中に漫画の絵と字の書込みを行なうことを特徴とするコンピュータを用いた漫画の製作方法である。
【0016】 また、請求項2においては、上記構成において、コマ面と吹出し面の辺縁の周囲の全部又は一部に、任意の幅で任意の形状の枠線を設定できるようにしたものである。
【0017】 また、請求項3においては、上記構成において、周囲の枠線を決めるコマ面と吹出し面の辺縁の形状を、あらかじめ製作して登録しておいた複数の形状の中から選択して自由に使用できるようにしたものである。
【0018】 【0019】 また、請求項4においては、上記構成において、絵と字のデータの移動が他のコマ面と他の吹出し面との間でも行なえるようにしたものである。
【0020】 【0021】 【0022】 また、請求項5においては、上記構成において、絵のデータが、三次元立体データであり、メモリに記憶格納した前記三次元立体データを呼び出し任意の視角を選択してその絵をコマ枠内に書込みできるようにしたものである。
【0023】 また、請求項6においては、上記構成において、データ入力装置に画像入力装置を有し、入力した画像を、頁面又はコマ面に書込めるようにしたものである。
【0024】 【0025】 また、請求項7においては、上記構成において、音声入力装置と音声出力装置を有し、入力された音声のデータを頁面、コマ面及び吹出し面に書込みしてメモリに記憶格納し、モニタ画面の一区画、頁面内の一区画、コマ面内、コマ面内の一区画、絵内の一区画、吹出し面内、吹出し面内の一区画、又は字上を音声データの出力命令ポイントとし、それらの指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると音声出力装置から音声が出力されるようにしたものである。
【0026】 また、請求項8においては、上記構成において、作成して記憶格納した任意の頁面とコマ面の両方又はいずれか一方のデータをモニタ画面に呼び出してその画面を下書き面とし、その下書き面に描かれた絵、画像及び字を透視可能に上書き面に重ね、その上書き面に下書き面の絵、画像及び字を透視しながら書込めるようにし、絵と字を書込んだ上書き面を残して随時に前記下書き面を消去できるようにしたものである。
【0027】 また、請求項9においては、上記構成において、入力装置及び出力装置にモデムを有し、通信回線を介して他のコンピュータシステムからの出力及び入力を行なってプログラム及びデータの遣り取りを行なえるようにしたものである。
【0028】 また、請求項10においては、上記構成において、頁面内にコマ面と吹出し面を設定して漫画の絵と字の書込みを行い、頁番号とコマ番号を付与してメモリへ記憶格納させて完成した漫画を、頁番号及びコマ番号の最初の番号からか又は任意の番号から正順又は逆順に転換できるように設定して、番号順に頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法である。
【0029】 また、請求項11においては、上記構成において、モニタ画面の、任意の分岐選択可能な区画を含む番号の頁面、コマ面又は吹出し面の任意の指定した分岐選択区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると、その番号の画面内から別系列の番号に分岐移動して異なるストーリーの展開が始まって、そのままモニタ画面を見て頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法である。
【0030】 また、請求項12においては、上記構成において、モニタ画面の頁面内の任意の指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると音声付き動画映像又は音声が出力され、任意にキー又はマウスを操作すると元の画面に戻るか又は終了できようにしたことを特徴とする請求項7乃至11のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法である。
【0031】 また、請求項13においては、上記構成において、モニタ画面の頁捲り又はコマ送りの速度を定速に又は頁毎に設定し、さらにその設定速度を任意の速度に早送り及び遅送りできるように設定できるようにし、前記頁捲り又はコマ送りを自動的に行なえるようにしたことを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか一項記載のコンピュータを用いた漫画の製作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法である。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、先ず本発明に用いるハード的なコンピュータシステムの説明をする。
【0033】 本発明では、CPUとメモリを備えたコンピュータと、命令入力装置及びデータ入力装置を有する入力装置と、ディスプレイ装置を含む出力装置とから構成され、既存の普及している高能力のパソコンと各種の入力装置及び出力装置を組み合せて用いることができる。 コンピュータは高速演算処理能力のあるCPUと大容量のメモリを備えると良い。 低速演算のCPUでは処理速度が遅くなり多くの時間が必要となる。 また小さい容量のメモリではデータ量の多い画像を処理することができなくなる場合がある。 そして、前記ディスプレイ装置に出力されるモニタ画面を見ながら前記入力装置によってオペレーティングソフト(OS)及びアプリケーションソフトを介してCPU及びメモリへの入力操作を行なうコンピュータオペレーティングシステムを用いる。
【0034】 用いる入力装置には命令入力装置とデータ入力装置が必要であり、前記命令入力装置としては、キーボード、マウス、コントローラ等がある。 本発明においては、ディスプレイ装置に出力されるモニタ画面を見ながら漫画を製作するものであり、前記命令入力装置によってプログラムソフトへの実行命令を行なうことになる。
【0035】 また前記データ入力装置については、字(「字」の語は、本発明では活字体及び各種字体及び変形文字及び図形的文字など各種の文字を含む意味で用いる)のデータの入力装置としてキーボードがある。 絵(「絵」の語は、本発明では図形及び画像を含む意味で用いる特に図形及び画像のみを指す場合には図形及び画像の語を使用する)のデータの入力装置としてイメージスキャナ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオ等がある。 音声のデータの入力装置としてマイクロホン、ビデオ、各種オーディオ機器等がある。 また、それらの入力装置を用いてモデムを介してインターネットやパソコン通信によって他のコンピュータシステムへのオンライン入力も可能となる。
【0036】 また、出力装置のうち、絵と字の出力装置としては、ディスプレイ装置、プリンタ等がある。また音声出力装置としては、スピーカーがある。 そして、それらの出力装置を用いてモデムを介してインターネットやパソコン通信によって他のコンピュータシステムからのオンライン出力も可能となる。
【0037】 次に本発明に必要な漫画製作用のアプリケーションソフト即ち「漫画製作ツール」を説明する。 本発明では、コンピュータと入力装置及び出力装置を揃えた機械的・電子的なハード的システム構成が漫画を製作するための一つの道具であるように、その機械を操作するためのコンピュータプログラムソフトウエアもまた漫画を製作するための欠くことができない一種の道具(ツール)として使用する。 各種のコンピュータプログラムソフトの介在なしには本発明の漫画の製作は実行できない。
【0038】 即ち、本発明では、グラフィクス支援ツール(漫画のコマ組み、コマの拡大縮小、コマの移動、カットアンドペースト、吹出しの制御等)、データベース支援ソフト(表情のリスト、背景のリスト、使用頻度の管理等)、デバイス支援ツール(デジタル化、VTR画面制御等)、画面制御(マウスによる選択、移動等)、データ転送(モデムにて他のプログラムやデータ同士のアクセス等)の組み合せによって総合的なコンピュータアプリケーションソフト即ち「漫画製作ツール」が完成する。
【0039】 漫画はストーリーの展開において、通常一枚の頁又は2枚の繋がった見開き頁の中にまとまりのある場面が完結的に表現される。 そして、その頁全面を一コマで表現することもあるが、多くは、その頁画面を小区画に分割(コマ割り)して、それらのコマを上から下へ、右から左への順で時間的推移を表現する。
【0040】 コマ割りは作者によって好みがあり、きっちりと均等割りする方法(主として四コマ漫画に多い)、割らない方法(一コマ漫画)、斜め割りする方法(劇画に多い)、部分割りする方法(挿絵漫画)、不規則割りする方法(ストーリー漫画や劇画に多い)などの手法がある。
【0041】 コマ割り線についても、立体的な影入線によるもの、鋭い細い線によるもの、コーナーを丸めたもの、波型にしたものなど自由に表現している。 そこで、一頁分全体の頁画内に上記のように多様な表現形式に応じることができるように、モニタ画面にそれぞれのコマ面が一つの枠として設定されるようにすることが漫画製作の基本となる。
【0042】 漫画は通常一コマ毎に一場面が表現される。 また漫画の表現はコマが独立している場合と隣り合うコマ同士を連結させ、絵や文字を複数のコマに跨がって上書きする手法が多用されている。 このような手法で心理的、空間的な連想が関連することを表現するのである。 このようにコマを作ることは極めて大切なことである。 このために、頁面にコマ枠を作成する画面制御ソフトが必要となる。
【0043】 また、漫画には文字のスペースが多くを占めている。 そして漫画においての言葉の表現は、通常には「吹出し」を囲ってその中に会話、思考内容などを文字で表現する。 強調する場合にはコマ枠をはみ出して大きく文字が書かれることもある。 またコマ枠外や枠間に解説文などを入れる場合がある。 また日本では擬態語、擬声語が数多く作り出されている。 また文字とも絵とも言えない形喩も数多く作り出され微妙な心理描写の手法となっている。 それら、擬態語、擬声語、形喩も「吹出し」内に表現することもあるが、多くは絵の中に上書きされて文字が溶け込むように表現されることが多い。
【0044】 したがって、「吹出し」は漫画表現の基本形式である。 このために、本発明では、モニタ画面上で、頁面のコマ面の内部又はその内部から外部へはみ出して、任意の位置に任意の大きさなどの形状の吹出し面が上書き可能に設定できる画面制御ソフトが必要となる。 そして、製作中に吹出し面(空間)を呼び出して、その吹出し面内に字のデータを随時書き込めるようにする。 吹出しは一つの独立した字のデ-タ専用枠とし、そしてその字のデータ専用枠内である吹出し枠内にワープロを使用して文字や記号を記入でるようにする。
【0045】 また画像データはコンピュータの記憶容量を多く必要とする。 字のデータも吹出し面内に絵として書き込みすることもできるが、別にワープロから文字デ-タを書込んだ方がコンピュータの記憶容量が少なくて済むし、文章の作成も極めて簡単となる。 そして例えば吹出し枠内の作成した文字のデータは平仮名の片仮名への文字データ変換を実行するプログラムの作成が可能である。
【0046】 また、文字のデータ変換機能を用いれば、漫画の国際化の中で、漫画が色々な言語で読まれることになり、その場合には漫画の中に表される文字のみを、他の言語に翻訳して置き換え可能とすることは、例えば輸入漫画で行なわれる吹出し枠内の物理的な切り張り置き換え作業を省略することができる。 特に、自動翻訳機が提供されている現在、文字部分のみ自動翻訳機によって言語転換すれば、他国での出版が極めて簡単となる。 また、漫画の視覚的なイメージと言葉の表現としての外国語文字とが一体的に表現されるものは外国語学習の教材として極めて優れた資料であり、語学向上に資することもできる。
【0047】 一般的には、これまでの漫画は文字のスペースが多くの面積を占めている。しかし、本発明のモニタ画面で見る漫画においては、モニタ画面を操作しながら文字を音声に転換して出力したり、漫画に文字を書込まずに仕上げることができるようになる。 そうすれば絵の中にスペースを割いて無理な吹出しを入れなくても済むようにもなる。
【0048】 そこで、上記のような漫画の製作を行なうために用いるアプリケーションソフトについては、コンピュータに前記命令入力手段によって命令を入力しつつ前記モニタ画面上で、見開き両頁面又は一頁面に、次の(イ)(ロ)(ハ)の各ソフトを組込んだ漫画製作ツールを使用する。(イ)前記モニタ画面上で、頁面全体をそのまま一つの単位区画とするか、頁面内を複数に平面分割して分割された各個を単位区画とするか、頁面上に複数の区画面を重層させそれら各区画面を単位区画とするか、のいずれかによる任意のコマ面を設定する画面制御ソフト。(ロ)前記モニタ画面上で、頁面のコマ面の内部又はその内部から外部へはみ出して、任意の位置に任意の形状の吹出し面を設定する画面制御ソフト。(ハ)前記モニタ画面上で、頁面に設定したコマ面と吹出し面に漫画の絵と字を書込むグラフィクス支援ツール、データベース支援ソフト、デバイス支援ツール、画面制御、データ転送、図形プロセッサ、ワードプロセッサ等のソフト。
【0049】 そして、この漫画製作ツールを用いて前記モニタ画面上でコマ面と吹出し面を設定してその中に漫画の絵と字の書込みを行なう。 そして完成されたそれらの表示画面の全頁枚数を紙にプリントアウトしてそれらを頁順に製本すると一冊の漫画本が完成する。 そしてそれらの個々のモニタ画面は製作の途中や完成させてからも随時プリントアウト可能とすれば、改めて絵や字の点検や修正を行なうことが容易となる。
【0050】 上記の絵、字、音声のデータ処理操作に必要なプログラムのソフトウェアは、各種のプログラム言語の使用によって構築される。特にマルチウインドウのスタイル、即ち画面の中に別の画面を重層させて表示してその各表示された画像を加工する手法が有効に利用できる。
【0051】 また、コマ面と吹出し面の辺縁の周囲の全部又は一部に、任意の幅で任意の形状の枠線を設定できるようにする。 コマ面と吹出し面の辺縁の周囲のコマ枠線や吹出し枠線は、単に場面のちよっとした切れ目又は相互に関連した場面として表現され、また意識的に枠線なしにすることもある。 また全部ではなくコマ枠の一部分に枠線を入れて同一空間において別の異なる場面であることを明確にさせる効果を持たせたりする。 また枠線と枠線の間に形成される枠間余白を大きくとることによって場面と場面との時間的空間的な隔たりを表現することができる。
【0052】 また、周囲の枠線を決めるコマ面と吹出し面の辺縁の形状を、あらかじめ製作して登録しておき、その登録されている複数の形状の中から自由に選択して使用できるようにする。 前記枠線及び前記枠間の形状は直線を用いることが多いが、感動的場面や作者が特別に見て欲しい場面には波型や鋸歯型や稲妻型などの枠線を使用することがあり、コマ面と吹出し面の辺縁の形状の外郭を線として表示させるとそのような各種の枠線ができる。
【0053】 また、任意に設定されたコマ面と吹出し面を製作単位とし、個々のコマ面内で絵の描画、編集、印刷、転送、登録、削除、終了を行い、また個々の吹出し面内で字の書込み、字形変換、文字変換、編集、印刷、転送、登録、削除、終了を行なえるようにする。
【0054】 従来の図形プロセッサの機能としては、例えば、描画機能には、画面にメニューを表示して、部品の選択、部品の呼出、数値入力、塗りつぶし、自由曲線、軌跡、連続直線、平行四辺形、正方形、多角形、円、楕円、長方形、直線、色などの選択ができる。 編集機能には、スペース削除、スペース挿入、スペース指定、トレース、分解、合成、拡大縮小、回転、変形、削除、移動、コピーなどがある。指定図形、元図を残すか、残さないかの選択、解除、ボックス掛け、ボックス囲いがありこれらを使用する。
【0055】 印刷機能には、部分拡大、プリンタ、レイアウト等の機能がある。変更機能には、透過、上下、全部、位置合せ、塗りつぶし、塗り替え、点種、線種などがありこれらを使用することができる。 転送機能には、ファイル保存、読み込み、転送などがある。登録機能には登録、削除がある。書込む文字については、削除、移動、コピー、入力、枠サイズ変更、枠作成、位置変更、字形変更、文字変更などがある。最後に終了には、保存終了と破棄終了がありこれらも使用することができる。
【0056】 漫画には着色、ハッチング、網掛け、ボカシ等の表現が多用されるが、その場合に以上のような機能を利用して簡単に図形処理を行なうことができる。 例えば、絵のデータの任意の空間内の色及び図柄を、あらかじめ設定してある色及び図柄に転換して塗り換えすることができる。
【0057】 また、漫画の絵と字の製作中に、任意のコマ枠及び吹出し枠を選択してその枠面を切り取り、その切り取った枠面を拡大及び縮小及び変形を行なえるようにし、そのコマ枠及び吹出し枠の中に絵と字を作成してそのデータを書込み、それら各コマを元の縮尺に戻して頁面内の元の位置に戻すか又は別の位置とコマの入替え配置をして頁面を作成できるようにする。 そしてそのようにコマ枠を拡大すれば細かい部分まで詳細に確認できて正確に書込むことなどが可能である。
【0058】 また、作成して記憶格納した頁面及びコマ面をモニタ画面に随時に呼び出し、その画面上で絵と字のデータを修正して上書きできるようにする。 一旦完成した絵のデータにさらに文字データを上書きできるようにする。 文字は普通絵ができあがった後から書き入れることが多く、その書き入れかたは、絵の上に直接被せるように書き込む方法と、吹出し又は囲いを設けたり、吹出し面を空けてその中に表示する方法が可能である。 またそれらの方法を場面に相応しく組み合せることができる。
【0059】 また、絵と字のデータのコピーなどの移動が他のコマ面と他の吹出し面との間でも行なえるようにし、製作中に随時にコマ面の絵と字のデータの切取りと張付けが同じコマ面内又は別のコマ面間で行なえるようにする。 これには図形製作ソフトの一般的な編集手法を利用することができ、前記コマ内の一部又は全部の絵のデ-タの切取り及び張付けなどの機能をもたせると、画面内の部分修正などが容易となる。
【0060】 また、絵と字のデータの中から1グループを成す線群及び面群及び文字群を抽出し、それらをグループ別のデータにし、そのグループに整理番号を付与してメモリに保存し、製作中の画面に随時に呼び出して書込みが行えるようにする。 一度書かれた絵は、同じ様な場面設定においては、その絵を背景として何度も使用することができる。何時間も手間をかけて最初からそのような絵を書き込むことと比較すると一瞬のうちに表示できることは極めて高効率である。 また、一つの絵、例えば主人公は何度も登場し、顔の形や向きは数種類のパターンで間に合うことが多く、さらに喜怒哀楽の表情の部分を加えればおよその人物は蓄積された図形データで埋められる。そして呼出した背景画面にこの人物図形データを上書すれば一つのコマが簡単に完成することになる。
【0061】 また、漫画の一つのストーリーファイルの中の複数の頁面に跨がる特定の線群及び面群及び文字群をグループとして系統データ化し、前記ストーリーファイル全体の頁面のデータに対してその系統データを一括して一度にデータ変換して書換えが実行できるようにする。そうすれば、画像データの線を個々に又は一区画内を一括して任意の太さの線種や同一筆種に一括変更できる。
【0062】 また、絵のデータに、三次元立体データを用い、メモリに記憶格納した前記三次元立体データを呼び出し任意の視角を選択してその絵をコマ枠内に書込みできるようにする。 例えば、一人の人物の三次元立体データによって、前後左右斜め方向等の選択ができ、また顔の表情、手足等体の動作が表せる。 そしてその三次元立体データを紙上の二次元平面データに置き換え書き込みする。そして、コマの中に呼び出した背景の絵にその三次元立体データから作られた二次元平面データを書き込んで一つのコマを完成させることができる。
【0063】 また、データ入力装置に画像入力装置を用い、入力した画像を、頁面又はコマ面に書込めるようにする。 前記画像入力装置としてイメージスキャナを有する場合には、紙に描かれた絵、写真、文字等をそのまま読み込みそれらをモニタ画面に出力して頁画面全体又は各コマ内に表示してその頁面又はコマ枠に絵のデータとして書き込めるようにする。 それらの絵、写真、文字等はそのまま漫画の背景、下絵等に利用できる。さらに、イメージスキャナで読み込まれたワープロで表現できない文字、即ち、強調文字、変形文字など特殊な文字を前記漫画の背景、下絵等の上にさらに上書きして表示することができる。 また紙に描かれた絵をイメージスキャナによってモニタ画面に表示して、この表示された絵を前記下絵の上にさらに上書きするなど、紙上に保存しておけばこの絵を繰返し何度も利用することができる。
【0064】 また、前記画像入力装置としてデジタルカメラを有する場合には、漫画の絵と字の製作工程において、映写画像データの中から任意の画像データを頁面又はコマ枠内に書込みできるようにする。 デジタルカメラは絵のデータ入力装置としてはデジタル情報の直接的なデータであるからその画像の加工や処理は容易である。
【0065】 そして、作成して記憶格納した任意の頁面及びコマ面のデータをモニタ画面に呼び出してその画面を下書き面とし、その下書き面に描かれた絵、画像及び文字を透視可能に上書き面に重ね、その上書き面に下書き面の絵、画像及び文字を透視しながら書込めるようにし、絵と字を書込んだ上書き面を残して随時に前記下書き面を消去できるようにする。 例えば、カメラ撮影画像を下書き面とし、その上書き面にその画像になぞって絵を書込むことによってデッサン技術の劣る人でもバランス良くリアルに絵を描き出すことが可能となる。
【0066】 また、データ入力装置にテレビ、ビデオカメラ、DVD、ビデオテレビなどの音声付き動画映像入力装置を用い、また出力装置にスピーカーなどの音声出力装置を用いることができる。 そして、入力された音声付き動画映像をデジタル化して音声付き動画映像のデータとして頁面、コマ面及び吹出し面に書込みしてメモリに記憶格納し、モニタ画面の一区画、頁面内の一区画、コマ面内、コマ面内の一区画、絵内の一区画、吹出し面内、吹出し面内の一区画、又は字上を音声と動画映像のデータの出力命令ポイントとし、それらの指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックするとモニタ画面の動画映像と共に音声出力装置から音声が出力されるようにし、また前記音声付き動画映像のデータの中から任意の画像を静止画像のデータとして頁面又はコマ面に書込みしてメモリに記憶格納できるようにする。
【0067】 そして、そのデジタル化した所望の一瞬場面の静止画像をモニタ画面に表示したら、これをコマ内の背景部分としてそのまま使用するか、又は下絵として利用することもできる。 さらに、テレビ、カメラ、CCDカメラ、DVD及びそのビデオの動画映像についても、それらの動画映像をデジタルに変換してモニタ画面に表示してメモリに記憶格納させたり、静止画像に加工したり、ハードディスク(HD)、フロッピーディスク(FD)、光ディスク、光磁気ディスクやCD-ROM等の記憶媒体に画像、字及び音声のデータを記録し再生させることも可能となる。 また、それら画像を再生させ加工する画像処理ソフトも各種提供されているのでこれらを有効に利用できる。 さらに、絵、図形、画像と関連させて音楽、会話、動物、物音などの音声などのマイクロホンで音声入力したりそれをコマ面内の絵や文字を指示して出力させたりすることができる。
【0068】 また、音声入力装置と音声出力装置を用いる場合、入力された音声のデータを頁面、コマ面及び吹出し面に書込みしてメモリに記憶格納し、モニタ画面の一区画、頁面内の一区画、コマ面内、コマ面内の一区画、絵内の一区画、吹出し面内、吹出し面内の一区画、又は字上を音声データの出力命令ポイントとし、それらの指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キ-又はクリックすると音声出力装置から音声が出力されるようにする。 前記音声入力装置には、マイクロホン、各種オーディオ、電子楽器、テープレコーダー、録音媒体、CDプレーヤーが利用できる。
【0069】 また、漫画の絵と字の製作中において、次のコマ枠に製作移動すると、その直前のコマ枠に書込まれたデータが製作中のコマ枠内に呼び出されるようにする。 コマ画面は連続することも多いので、コマ移動で自動的にそのこま内に直前のコマに書込んだデータを呼び出せば次のコマの効率的な製作ができる。 また、製作してメモリに記憶格納したデータの呼び出しの使用頻度に応じて優先順序で並べ換えできるようにすれば、使用したい加工前の下書き用の絵と字のデータを早く効率良く呼び出すことができる。
【0070】 また、入力装置及び出力装置にモデムを用い、アプリケーションソフトにデータ転送ソフトを有し、通信回線を介して他のコンピュータシステムからのプログラム及デ-タの出力及び入力を行なってプログラム及びデータの遣り取りを行なえるようにする。 これによって、通信回線を介して別々のコンピュータシステムが接続されれば、前記漫画製作ツールと製作した漫画の絵、文字又は絵、文字、音声のデータを別のコンピュータシステムへ送信し、おのおのがモニタ画面を見ながら出力及び入力し、別の所にいながらお互いに協力して漫画を製作することができ、またできた漫画を他のコンピュータシステムのモニタ画面に出力させ見ることが可能になる。 そうすれば本を運搬することなく、通信によって漫画を海外にまで発信できるし、海外の漫画を受信して見ることができるようになる。
【0071】 また、上記コンピュータを用いた漫画の製作方法を用いて作られた漫画をモニタ画面で見る方法において、頁面内にコマ面と吹出し面を設定してその中に漫画の絵の制作と字の書込みをし、頁番号とコマ番号を付与してメモリへ記憶格納させて完成した漫画を、頁番号及びコマ番号の最初の番号からか又は任意の番号から正順又は逆順に転換できるように設定してモニタ画面で見ながら頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できるようにする。
【0072】 また、前記漫画をモニタ画面で見る方法において、モニタ画面のある分岐選択可能な区画を含む番号の頁面内、コマ枠又は吹出し枠の任意の指定した分岐選択区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キー又はクリックすると、その番号の画面内から別系列の番号に分岐移動して異なるストーリーの展開が始ってそのままモニタ画面で見ながら頁捲りとスクロールにより連続してストーリーを展開できるようにし、任意にキー又はマウスを操作して元の画面に戻るか又は終了できるようにする。
【0073】 また、未完成及び完成した頁面とコマ枠に直列又は複数並列の整理番号を付与してメモリに記憶格納し、それらをそれぞれ直列又は複数並列の番号順又はある番号からの任意選択可能な枝番号順に配列してモニタ画面又はプリンタに出力できるようにする。
【0074】 順当な方法としては頁面及びコマ面を順次シナリオにそって直列の番号順に配列した場合には、頁面及びコマ面を頁順及びコマ面順に頁捲及びコマ面送りすることができる。 しかし本発明においては、頁面及びコマ面に複数並列の整理番号を付与して、頁面及びコマ枠を整理番号順に頁面及びコマ面を送れるようにし、ある頁面及びコマ面においてその頁面及びコマ面から次の選択し得る複数並列の頁面及びコマ面即ち別々のストーリーの展開窓口として新たなストーリー展開を開始してモニタ画面で見ながら頁面及びコマ面が捲られストーリーを進行することができる。
【0075】 例えば同時平行的に進行するストーリーをそれぞれの側からの心理描写しつつ同じ場面を別解釈で展開することができる。このように複数並列の枝順番に並べ換え、移れるようにする方法が可能となる。 また、そのコマに関連する過去の追憶や、関連データを呼び出してストーリーに変化をもたせたり、その人物の心理の解説をしたり、見る人の選択事項を挿入することによりこれまでの紙面による漫画では表現できない時差的描写、別解釈的描写、及び多視点的描写などの新表現技法が可能となる。
【0076】 また、前記漫画をモニタ画面で見る方法において、モニタ画面の頁面内の任意の指定した区画部位にカーソル又はマウスカーソルを移動して打キ-又はクリックすると音声付き動画映像又は音声が出力され、任意にキー又はマウスを操作すると元の画面に戻るか又は終了できるようにする。
【0077】 また、前記漫画をモニタ画面で見る方法において、モニタ画面の頁捲り又はコマ送りの速度を定速に又は頁毎に設定し、さらにその設定速度を任意の速度に早送り及び遅送りできるように設定できるようにし、前記頁捲り又はコマ送りを自動的に行なえるようにする。
【0078】
【発明の効果】
本発明は上記のようで、コマ割りとコマ枠の制御及び吹出し枠の設定と制御によってそれら漫画特有のコマ面と吹出し面内の絵と字が混合された表現手法の基本を容易に製作できるようにしたことによってコンピュータを用いての漫画の製作がだれでも簡単にできるようになり、そしてその制作方法で作られた漫画をモニタ画面で見る方法によってモニタ画面で見て楽しむことが可能となった。 そして、コンピュータを介することによって、写真、デジタルカメラ、テレビ、ビデオ、CD、録音テープ、データ通信等各種メディアを利用して、漫画の表現手法を飛躍的に高めるとともに、各種専門的分野の複雑な描写など、手間暇かかり且つデッサン力や立体表現力などの芸術的センスの必要な手書部分をコンピュータに読み込んだ画像に置き換えて利用すればだれでも簡単に漫画を製作することができるようになる。
【0079】 また、絵や字のデータ管理ができるため、一度コマに絵ができ上がればその描いた絵を記憶させ、これを基に使いたいとき絵を呼出して下絵として何度も利用することができ、何時間も手間をかけて最初からそのような絵を書き込むことと比較すると極めて高効率に製作できる。 さらに、コマ枠内への映写記録画像などの取り込によって、絵の中に生な映像を活用することが可能となる。これらは、描写表現力が乏しく絵を描くことが苦手な人にとって、漫画製作の一つの大きな関門を克服することになる。
【0080】 そしてできた漫画は、前記漫画をモニタ画面で見る方法によって、モニタ画面で、単に平面的、直列的に見るのみならず、動画で、立体的に、音声を聞きながらコマを楽しめ、さらに並列的、重層的にストーリーを展開して楽しむことができるようになった。 通信手段を利用すれば多くのデータの遣り取りができるので、本発明の漫画の製作方法を用いて多くの人々が協力しながら漫画を製作して、その方法で製作した漫画をモニタ画面で見る方法によって、個人などのホームページからインターネットを介して全世界の多くの人々に見てもらうことも可能となる。 また、電子出版システムに載せてオンデマンドに供給することも可能となる。