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地裁所長襲撃、少年の「無罪」取り消し…大阪高裁

 大阪市住吉区で2004年2月、当時の大阪地裁所長が襲われて重傷を負い、現金を奪われた事件で、大阪家裁から「無罪」にあたる不処分決定を受け、大阪地検が「控訴」にあたる抗告受理を申し立てた当時14歳の少年(18)について、大阪高裁は25日、不処分決定を取り消し、同家裁に審理を再び差し戻すよう決定した。今回の抗告審で少年は家裁と高裁で2度ずつ審理されたことになり、家裁に再び差し戻されると、少年事件では極めて異例の5度目の審理となる。少年側は決定を不服とし、最高裁への再抗告を検討する。

 大渕敏和裁判長は決定で、差し戻し審判で検察側の証拠を調べなかった点を、「決定に影響を及ぼす手続き違反」と述べた。

 少年は06年3月、同家裁で中等少年院送致決定を受け抗告。同高裁は最初の抗告審決定で「現場近くの防犯ビデオに映った犯行グループの体格差は目立たず、実行犯とされた大柄な成人がいることに疑いが残る」として審理を差し戻した。

 差し戻し審判で、検察側は、位置関係によって体格差がないように見えることを立証するため、ビデオと同じ場面を再現したDVDの証拠調べを求め、同家裁は応じないまま不処分にしたが、大渕裁判長は「家裁にはDVDを取り調べる責務がある」と述べた。

 事件では、犯行グループとされた5人全員が無実を主張。当時16歳の少年の兄(20)は「再審無罪」にあたる保護処分取り消し決定を受け、1審・大阪地裁判決で無罪になった成人2人は4月17日に大阪高裁で控訴審判決が言い渡される。

 決定を受けて記者会見した少年の付添人弁護士は「甚だ不当な決定」と批判。決定を伝えられた少年が絶句し、「またですか」と長引く審理を嘆いたことも明かした。

2008年3月26日  読売新聞)

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