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栃木の勤務医「過労で自殺」 労災と認定

2008年03月28日00時26分

 栃木県内の病院で勤務していた外科医の男性(当時38)が自殺したのは過労が原因だとして、鹿沼労働基準監督署が労災認定していたことが27日分かった。記者会見した遺族と代理人によると、長時間労働や転勤、医療事故を起こしたことによるストレスでうつ病になったと認められたという。

 代理人の川人博弁護士によると、男性は00年から埼玉県内の病院で勤務。残業は月80時間を超え、休日出勤や月数回の当直勤務もした。02年5月には、大学の医局の指示で栃木県内の病院に本人の望まない転勤をした。まもなく、内視鏡検査で患者の大腸に穴を開けるミスを起こす。00年の同じミスに続き2回目で、うつ病になった医師は6月14日に高架道路から飛び降り自殺した。

 公開された遺書には「多大な迷惑をかけてしまった。大学の医局にも、本当に患者様や(同僚の)先生、病院の方々に申しわけない。死んでおわびできるものでもないが、それでもやはり死ぬしかないと思う」などと書かれていた。

 男性の父親は「息子は医師の道を夢と希望を持って進んだ。医療の世界が厳しいのはわかるが、死者があってはならない」と話した。川人弁護士も「外科医の激務は深刻で、過労死をなくすには医師の増員と労働環境の改善が必要だ」と述べた。

 過労死弁護団のまとめによると、過去5年間で少なくとも10人の医師や研修医の死亡が、過労による労災や公務上の災害と認定されている。

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