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新銀行東京400億円追加出資を可決 一層の都民負担も

2008年03月27日01時40分

 経営難に陥っている新銀行東京に東京都が400億円を追加出資する議案は26日、都議会予算特別委員会で、3項目の付帯決議をつけたうえで自民、公明の賛成多数で可決した。議案は28日の本会議で正式に可決される。新銀行東京は追加出資を受けて再建を目指すが、再建策の実現性に疑問も残り、さらなる都民負担を招く可能性もある。

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想定される新銀行東京の今後

 自民や公明は「破綻(はたん)となれば中小企業に影響が大きい」などとして賛成した。付帯決議には(1)さらなる追加出資は許されない(2)今回の400億円を棄損させない(3)経営の支援や監視のための専門組織を設ける、という3項目を盛り込んだ。

 石原慎太郎知事は委員会後、追加出資について「無駄になるかならないか黙って結果を見て下さい。今から水をぶっかけるようなことを言ってはだめですよ」と強気の姿勢を示した。

 追加出資を受け、新銀行は経営内容を大きく変える。従業員削減や店舗減で経費削減を図り、預金量を4280億円(昨年9月期)から200億円に圧縮するなど経営規模を縮小。業務純益は08年度のマイナス70億円を11年度に8億円に転換させる。

 同行の看板商品で、企業の財務データから自動的に融資を決める「無担保無保証融資」は原則中止し、融資先は返済能力に問題の無い企業に特化する。都の公共工事を受注した業者への工事完成代金の前倒し融資も強化し、安定経営を図る。

 しかし、当初の中小企業支援の理念が薄れることで銀行の存在意義を疑問視する声があるほか、公共工事に絡めた融資は「民業圧迫」との批判も受ける。石原知事は経営改善の具体策は「手の内を明かすことになり公表できない」としており、こうした姿勢を含め、専門家の多くは再建策に疑問を示す。

 今後、都民の負担が膨らむ可能性も指摘される。累積赤字を相殺するため新銀行が減資をすれば、すでに都が出資している1000億円の棄損が確定する。さらに400億円の追加出資も、銀行側の見立て違いや景気動向によって不良債権が拡大した場合、新たな赤字への補填(ほてん)にあてられる可能性がある。

 1000億円に加え、400億円を失う事態になれば、都民1世帯あたり約2万3000円の損失となる。

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