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阪急・阪神百貨店合併、過当競争見据え決断

 持ち株会社エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング傘下の阪急、阪神両百貨店が10月1日付で合併するのは、大阪市内で2011年前後に百貨店の増床・出店が相次ぐのを控え、経営判断の迅速化を迫られているためだ。ただ、「ファッションに強い阪急」「食料品の阪神」というそれぞれの強みが薄れかねず、合併の効果は不透明だ。

 H2Oは07年10月の経営統合後も「最も警戒するのは同質化。顧客から見える部分はこれまで通りにする」としてきた。統合はカードの管理システムや備品の共同購入など後方部門の一部にとどまっていた。

 それが合併に踏み込むのは、両百貨店の本店のある大阪・梅田への出店を予定する三越がファッションに強みを持つ伊勢丹との経営統合を決めるなど、業界を取り巻く経営環境が大きく変わってきたためだ。過当競争になりそうな梅田地区で圧倒的な“一番店”になるためにも「阪急主導で強力な経営策を打ち出す必要があった」(百貨店業界関係者)とみられる。

 ただ、H2Oの代表取締役3人はいずれも阪急百貨店出身で「すでに阪急主導の運営体制になっており、合併の利点が見えにくい」という声もある。人材交流や商品仕入れの一元化にも踏み込むことで、双方が持ち味を失ってしまう懸念はぬぐえない。

(岸本英樹)
2008年3月27日  読売新聞)

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