上海(AP) 原油価格の世界的高騰と中国国内での統制価格との差が拡大したため中国各地の主要都市で軽油とガソリンが品薄になり、各地のガソリンスタンドには24日、長蛇の列ができた。
品薄は中国南部と内陸部から始まり、沿岸の大都市にも広がりつつある。ガソリンスタンドは調達が難しくなり、上海のガソリンスタンド4カ所は同日、当日分の軽油がまだ届かないと語った。
「今販売できる軽油はない。あとで来ればあるかもしれないが、届いてもすぐ売り切れてしまうだろうから保証はできない」と店員は話す。
上海経済委員会は同日、上海にはまだあと10日分以上の重油があるとの情報をウェブサイトに掲載。「価格は政府が決めているため、消費者が価格急騰を恐れてパニックに陥ったり、買いだめする必要はない」として平静を呼びかけた。
その上で「一時的な品薄に理解を示し、ガソリンスタンド周辺で交通の秩序を保ってほしい」と促しているが、これはガソリンを買えない人がイライラを募らせていることをうかがわせる。
中国は長年、国内の油田からの供給で需要をまかなってきたが、1990年代の経済成長に伴い輸入量が増大。現在需要の半分近くを輸入に頼っており、輸入量は昨年12.3%増えて11億バレルに達した。
国営メディアの報道によると、原油価格が1バレル当たり100ドルを突破する中、小規模の石油会社は生産の縮小や中止に踏み切っている。中国国有の石油大手2社は、主要都市および農業、公共交通機関といった主要産業への供給を確保するよう政府から命じられ、一部地域でガソリンスタンドへの販売を制限しているという。
上海では昨年下半期にも一時的に品薄に見舞われたが、政府が石油会社に供給確保を命じ、燃料価格を約10%値上げした後、間もなく解消された。