現在位置:asahi.com>暮らし>暮らし一般> 記事

村中で禁酒して建てた小学校 さようなら

2008年03月24日10時46分

 約80年前、酒を飲んだつもりで村民が毎日5銭以上貯金する「禁酒」で校舎建設費を工面した歴史を持つ石川県津幡町の河合谷(かわいだに)小で23日、閉校式があった。

写真

最後の児童たち 閉校式で式辞をじっと聴き入る児童たち。春からは別々の学校に通う=石川県津幡町の河合谷小学校で

写真

記念撮影する閉校式の参加者たち=23日午後、石川県津幡町で

 「教育の村」の心は今も息づき、約180世帯全戸が教材費の一部を出し合ったり、存続を求めて2000人分の署名を集めたりした。だが山あいの集落は過疎化が進み、願いはかなわなかった。

 全校児童13人や住民ら約250人が参列し、涙ぐむ姿も。鉄筋コンクリートの現校舎はやがて姿を消すが、1926年建立の「禁酒の碑」は住民を見守り続ける。

 〈河合谷小〉 1926(大正15)年1月、老朽化した校舎建築費4万5000円余りをどうひねり出すかが話し合われ、4月から5年間、河合谷村(現・津幡町河合谷地区)の全村民が禁酒し、毎日5銭以上貯金して充てることになった。村に8軒あった酒店は自主廃業。全国で話題になり、海外から取材班も訪れた。

 富山県境の山あいにあり、河合谷地区の人口(07年4月)は183世帯421人。今も「禁酒の碑」が立ち、「禁酒」と朱書きされた鉄板を玄関先に掲げる家も残る。

PR情報

このページのトップに戻る