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判決、学校も批判

2008年03月22日

◇◆児童にわいせつ 元教諭実刑◆◇

 「被害者の憤激は、事件後に被告が犯行を否認したことや、学校側の対応でさらに増幅された」。教え子にわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた元小学校教諭松岡芳樹被告(44)に、津地裁四日市支部の堀毅彦裁判長は21日、被告に懲役1年10カ月を言い渡すとともに、被害の訴えがあったのに、対応が後手に回った学校側の姿勢も厳しく批判した。裁判長の言葉は被告だけでなく、桑名市教委や県教委にも届いたのか。(小若理恵)

◆被害訴え 取り合わず◆
 午前10時半。黒いスーツ姿で入廷した松岡被告は、背中を少し丸め、体の前で両手をそろえて判決を聴いた。堀裁判長は「被害者がうそをついていると頑強に否認するなど、被告の刑事責任は重い」と述べた。

 これまでの公判で、検察側は松岡被告が昨年5月ごろから複数回、担任する高学年の女児の胸や下半身を触り、水着姿をデジタルカメラで撮影するなどの行為を繰り返した、と指摘した。

 さらに、松岡被告が大学時代から女児のブルマーやスクール水着に興味を持ち、小学校教諭になった後、91年ごろにも別の教え子2人の服を脱がせてビデオカメラで撮影するなどの行為をしていたことも明らかに。しかし、松岡被告の「真の姿」を桑名市教委はそれまで全く知らなかったという。

 体を触られた女児は、昨年7月23日、母親にやっとの思いでこれまでの被害を打ち明けた。ところが、すぐに相談に訪れた母親に、当時の校長は「松岡先生はやっていないと言っている」と対応。2週間たってようやく市教委に報告したが、真剣に被害を訴える女児と母親に、市教委も「精神的におかしくなったのではないか」と取り合わなかった。

 松岡被告の逮捕は訴えから約1カ月後。しかし、教室で「うそはあかん」と教えた松岡被告は、起訴後も否認を続け、昨年11月の公判前整理手続きで認めた。県教委が松岡被告を懲戒免職処分にしたのは12月末。その理由を県教委は「本人が罪を認めず、処分できなかった」と説明する。

 市教委が女児と母親に謝罪したのは逮捕後。母親や女児に精神面で問題があると、市教委職員が指摘したことについては、2月の公判で明らかになってから初めて謝罪するなど、自ら非を認めようとする姿勢は全くなかった。

 実刑判決を受けて、市教委学校教育課の岡本隆課長は「勤務態度から松岡被告の性癖や資質を見抜けず、『まさか』という教職員らの思いが市教委への報告を遅らせた。被害者には本当に申し訳ないことをした」。県教委人材政策室の増田元彦室長は「まず被害者の訴えを真摯(しんし)に受け止めなかったのが最大の問題点。今後は児童生徒や保護者の声を聞く姿勢を大切にしたい」と話した。

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