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最高検、取調べ全過程の録音・録画は拒否 日弁連反発

2008年03月22日03時14分

 最高検は21日、裁判員制度での迅速な審理を目的とした取り調べの録音・録画を4月から全国の地検に拡大する際に「撮影は一部にとどめ、全過程では行わない」との方針を表明した。捜査への影響から全過程の「可視化」に反対する意見が現場の検事に多いことを踏まえた判断。来年始まる実際の裁判員制度にも同様の方針で臨む意向だ。全面可視化を求める日本弁護士連合会はこの方針を批判し、「個々の事件を担当する弁護士が問題点を法廷で明らかにしていく」としている。

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模擬取調室で公開された取り調べの様子。左上の黒い箱の中にカメラがあり、右端の容疑者を撮影、録画する=21日午後、東京・霞が関で

 東京など一部の地検は06年8月から、裁判員制度の対象となる殺人など重大事件の取り調べで録音・録画を試行。最高検は21日、その検証結果と今後の指針を公表した。

 検証によると170件の録画で撮影を担当した検事のアンケートで、全過程を撮影すべきだという意見はゼロ。「容疑者の供述の矛盾を厳しく問えず、十分な追及ができなくなる」「雑談や笑いもある取り調べを公開し、被害者や遺族が目の当たりにしたら、捜査機関に極度の不信感、嫌悪感を抱くかもしれない」などの意見が多かった。

 最高検は、それを踏まえて指針を策定。撮影は、既に作成した自白調書に沿って検事が質問して答えさせる場面などに限定し、時間は数十分程度にとどめるとした。自白調書の証拠提出が見込まれる事件では、容疑者が拒否する場合などを除き原則撮影する。供述が変わりやすい少年事件も同様の扱いだ。

 日弁連の取り調べの可視化実現本部長代行の田中敏夫弁護士は「全過程を録画しなければ、録画されていないときにどのような取り調べが行われたかわからず、不十分だ」と批判している。

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