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帝王切開手術中死亡、産科医師に禁固1年求刑 福島地裁

2008年03月21日19時01分

 福島県立大野病院で04年、女性(当時29)が帝王切開の手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(40)の論告求刑公判が21日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。検察側は「産婦人科医としての基礎的な注意義務に違反し、医師への信頼を失わせた」などとして、加藤被告に禁固1年と罰金10万円を求刑した。

 検察側の冒頭陳述などによると、加藤被告は胎児を取り上げた後に胎盤をはがしたが、胎盤が子宮に癒着していたためなかなかはがれず、大量出血が起きたとされる。

 検察側は、加藤被告は事前に胎盤癒着の可能性が高いと診断しており、無理にはがすと大量出血の危険性があることを専門書で知っていたと指摘。胎盤をはがすのが難しいと判断した時点で、加藤被告には、子宮摘出に移る義務があったと主張している。

 一方、弁護側は、癒着胎盤はすべてはがしきるのが臨床の現場では主流であり、胎盤をはがすことによって止血も期待でき、加藤被告の医療行為は適切だったなどとして無罪を主張している。

 公判は、5月16日に弁護側の最終弁論で結審し、今夏ごろに判決が言い渡される見通しだ。

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