子宮頸部前がん病変のDNA診断
子宮頸部がんは大きく分けて扁平上皮癌と腺癌に分けられます。
ここで言う子宮頸癌とは扁平上皮癌のことを言います。
細胞診による子宮頸部上皮内部病変の組織分類(実際のがんのステージとは別物)
軽度異形成:異型細胞が上皮の下層1/3にとどまる。
中度異形成:異型細胞が上皮の下層2/3にとどまる。 高度異形成:異型細胞が上皮表層1/3にとどまる。
子宮頸癌では16型・18型・31型・33型・52型・58型が多く検出されますが
異形成では様々な型が検出されます。 この結果から子宮頸部の上皮にHPVが感染する事により異形成が発生し、 異形成のうち中〜高危険型のHPVに感染していくケースが高い確率で癌化していくと考えられます。
実際に軽〜中度異形成215例について5年間の細胞診のみの自然観察の結果は
「病変消失」・・・149例
「不変存続(異形成のレベルが変わらないまま存続)」・・・52例 「増悪(高度異形成以上に進行)」・・・14例
となっています。
このうち、増悪した14例中のHPVの型を調べると
16型が4例
33型が2例 52型が5例 58型が1例 その他が2例 でした。
これらの結果から増悪化の危険度について表すと次のようになります。
危険度の低い「その他」と比較して
16型が7.95倍
33型が15.48倍 52型が17.44倍 となっています。
さて、ここで疑問を持たれた方はいらっしゃいますか?
この結果から子宮頸部の上皮にHPVが感染する事により異形成が発生し、 異形成のうち中〜高危険型のHPVに感染していくケースが高い確率で癌化していくと考えられます。
この文章は「HPVに感染→異形成→がん化させる別のHPVに感染」と言う事を表しています。
但し、注意すべきなのは『真の高危険型』である16・33・52型が見つかったとしても 確実にがん化するわけではないと言う事です。 尤もがん化する確率の高い16型でも約20%にしかがん化は起こりません。
高危険度型が見つかった場合には、3ヶ月ごとの検診
31・32・58型は4〜5ヶ月ごとの検診 その他の型は6ヶ月ごとの検診です。
出典「がんサポート」2007年4月号先進医療特集より
子宮頸部扁平上皮癌は見つけやすく、早期発見の場合は治癒率の高いがんの一つです。
上記の研究と取り組みは癌研有明病院で行われたものです。
現在、癌研有明病院では外来にてHPV−DNA診断を実施しています。
費用は12000円。 問い合わせは03-3520-0111
※匿名によるコメントはご遠慮願います。
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コメント(4)
貧相なHP http://www2.ocn.ne.jp/~kuroa/ を「どげんかせんといかん」 と思いつつ・・・。やっぱりブログの方が遥かに手軽でござんす。本当ならHPに載せたいところですが、HTML文法でやったらドンだけ時間かかるやろ・・・(泣)
2008/3/20(木) 午後 5:58
名前を覚えるのが苦手な私。覚えられませんが、いろんな型があって危険度が違ってフォローも違う事はわかりました。
このウィルスを除去する事はできないのですか?
HPも是非頑張ってください〜(ってすっかり見に行くのを忘れてました。。。行きますよ!)
2008/3/20(木) 午後 11:27 [ ふんちゃん ]
ふんちゃん、いらっしゃいませ。
HPVに対するワクチンが開発されています。日本のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて(2)
2007年12月18日の日本経済新聞(夕刊)「夕&Eye」欄
―記事抜粋ここから―『今回、英系のグラクソスミスクラインと万有製薬が承認を申請したワクチン(16型、18型)は半年間に三度摂取すれば体内に抗体ができ、HPVの感染を防ぐ。(しかし)限界もある。日本人は別のハイリスク型HPVに感染している人も比較的多くワクチンで完全に防げるわけではない。ワクチンには感染してしまったHPVを除く効果はない。性交未経験の若い世代に摂取することが重要。普及への課題が約四万円とみられる摂取費用負担と親の理解。(しかし)日本では議論すら始まっていない。』
2008/3/21(金) 午前 9:02
腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/uterine_cervical.html
2008/3/21(金) 午前 9:06 [ ヒューマン・パピローマ・ウイルス ]