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【鈴香被告】死刑回避の理由は

2008.3.19 20:51
このニュースのトピックス畠山鈴香被告
米山豪憲君の両親に向かって土下座する畠山鈴香被告(イラスト・今野仁)米山豪憲君の両親に向かって土下座する畠山鈴香被告(イラスト・今野仁)

 弁護側の主張を退け「2人殺害」を明確に認めながら、死刑を回避した秋田地裁判決には違和感を覚える人も多いだろう。

 だが、その結論は伝統的な論理構成から導き出されたものだ。死刑適用の可否は、昭和58年に連続4人を殺害した「永山事件」の最高裁判決が示した(1)犯罪の性質(2)動機(3)態様(4)結果の重大性、特に被害者数(5)遺族の被害感情−などを総合評価することが事実上の「基準」になっている。

 秋田地裁判決はこれらに照らし合わせ量刑を検討したが、「死刑を適用し、被告の生命をもって贖罪(しょくざい)を求められることも十分考えられるところだ」と裁判長が死刑適用に理解を示しながらも、躊躇(ちゅうちょ)した理由は、▽犯行がいずれも計画的になされてはいなかったと認められること▽これまで被告に前科前歴がなく犯罪傾向が強いとはいえないこと▽家族が被告を支えると意思表示しており更生の可能性が認められること−を評価したためだ。

 藤井裁判長が示したこれらの「被告に斟酌(しんしゃく)すべき事情」が、真に斟酌すべきものであるかどうかの評価は難しい。裁判官によってもその評価の具合は分かれるし、「究極の刑罰」である死刑の宣告に揺れる職業裁判官の姿も浮かんでくる。

 素人であるおおかたの国民にとっては、「なぜこの事件が死刑でないのか」という疑問が残ろう。その国民が来年5月までには裁判員として裁く側に参加する。そのとき今回のような事件で死刑判決を導き出すエネルギーとなるか、逆にさらに慎重な方向に引っ張るか、想像がつかない。

 今回の判決はあいまいな被告の心情を斟酌・重視しているだけに、これから裁判員となる国民の判断の参考となり得るか、議論の分かれるところだ。(豊吉広英)

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米山豪憲君の両親に向かって土下座する畠山鈴香被告(イラスト・今野仁)
畠山鈴香容疑者

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