現在位置:asahi.com>社会>事件・事故> 記事

アラら…クエはクエでも 福岡の料理店、別種の魚販売

2008年03月19日20時13分

 福岡市中央区の日本料理店「てら岡」が、高級魚のアラ(クエ)と称して販売していた魚が別種のアブラボウズだったとして、1月に販売を中止していたことがわかった。福岡県は19日、誤った原材料名を表示していたとして、同社をJAS法の加工食品品質表示基準違反で口頭指導した。

写真

アブラボウズ(東海大学出版会刊「日本産魚類大図鑑」から)

写真

クエ(東海大学出版会刊「日本産魚類大図鑑」から)

 販売を取りやめたのは、通販の「アラしゃぶセット」(4〜5人前で1万5750円)や、店舗で出していた「アラしゃぶセット」(1人前3900円)など。

 てら岡によると、02年以降、宮城県石巻市の水産卸会社から約19トンを仕入れ、そのうち食べられる部位の約7トンを主に店舗で「東北のクエ」として出したほか、通信販売などで提供していた。

 1月に消費者から指摘があり、石巻市に行って確認したところ、地元で「クエ」などと呼ばれる魚が別種のアブラボウズだとわかったという。

 同社は水産卸会社を通し、出荷元の魚市場関連会社が出した「クエ」と記された販売証明書を受け取っていた。07年からは証明書に「アブラボウズ」と表示されるようになったが、水産卸会社からはその後も「クエ」と書かれた旧式の証明書を渡されていたとしている。

 同社の寺岡直彦社長は19日会見し、「消費者のみなさんに心からおわびする」と陳謝。「販売証明書にクエと書いてあり、北の海で取れるクエの一種だと信じていた。(福岡のアラよりも安価だが)仕入れ値に見合った価格設定をしており、決して暴利をむさぼったわけではない」と釈明した。

     ◇

 〈クエとアブラボウズ〉 クエは西日本以西の海底にすむハタ科の大型魚。九州では「アラ」と呼ばれ、大物は体長1メートル以上。高級食材として扱われ、刺し身、鍋、湯引きなどで食べられる。一方、アブラボウズはギンダラ科の大型魚で、体長3メートルになるのもいる。本州中部以北の深海にすむ。多量の脂を含み、一部地域以外はほとんど流通していない。

この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する

PR情報

このページのトップに戻る