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北九州市〜佐賀市松本清張にこだわる「西海道談綺」に登場した鯛生金山
四十年余りの作家生活において1000編に及ぶ作品を残した戦後日本文学の巨人・松本清張。近年も相次いで作品がテレビドラマ化され、その人気は衰えることを知らない。清張は現在の北九州市出身。作品の中には九州各地を舞台にした物語が数多くある。清張の本を片手に旅に出かけよう。 旅を始めるにあたり、やはりまずは北九州市小倉北区の松本清張記念館を訪れたい。小倉城の敷地内にある記念館は、1998年開館。清張の膨大な作品のすべてがそろっており、彼の作家活動を、展示室や映像ホール、情報ライブラリーなどで紹介している。書斎をそのまま移したコーナーもあり、ここで一日中過ごすことも出来るほど充実している。 「或る『小倉日記』伝」は、森鴎外の小倉滞在時のエピソードを書いて芥川賞を受賞した作品。鴎外の旧居は今も小倉の市街地に残る。次に向かうのは門司区和布刈(めかり)神社。「時間の習俗」で物語の柱となった場所だ。 そこから福岡市東区香椎へ。ベストセラー「点と線」の舞台となったJR・西鉄ふたつの香椎駅がある。残念ながら唯一当時のまま残っていた西鉄香椎駅も昨年5月に高架化のため取り壊されているが、清張が歩いた街並みが、ところどころに昔の名残を残す。初日は「西街道談綺」の舞台になった大分県の日田に宿泊。 2日目に訪れるのは、清張も足繁く通ったルート。熊本県・杖立温泉から阿蘇の大観峰、草千里を経て阿蘇山火口へ。「青春の彷徨」の主人公男女ふたりは阿蘇山火口でそのすごさに息をのむ。「屈折回路」に登場する八代・日奈久温泉は歌人種田山頭火も愛した。清張と山頭火の情景描写を比べてみるのも面白い。そこから山鹿温泉へ。「屈折回路」「陸行水行」の2作品に登場する温泉街では、ボランティアガイドの案内が趣深い。2日目の夜は山鹿でゆっくりと。 最終日は「屈折回路」に登場する福岡県の大牟田の街を抜け佐賀へ。佐賀市は「張込み」の舞台。市内の古湯温泉は、映画化された際にロケが行われた場所である。 今回のルートには入っていないが、「西郷札」の宮崎県・延岡と佐土原、「天才画の少女」の大分県・別府観音寺温泉など、清張が題材にした土地は九州各地に存在する。彼の作品はどれもしっかりと土地を見据えており、描写は観光パンフレット以上の細やかさ。読んでから訪れるもよし、訪れた後に読むもよし。清張の力を借りて、そんな旅の楽しみ方をしてみてはどうだろう。(九州観光推進機構・宮崎泰 092・751・2943) 和布刈公園(北九州市) 和布刈神社を含む古城山一帯は和布刈公園として整備され、山頂の展望所からは関門海峡、関門橋、門司港レトロなどを一望できる。 山鹿灯籠祭り(山鹿市) 毎年8月15、16日に行われる。クライマックスである「千人灯籠踊り」は、頭上に金灯籠をのせた女性1000人による非常に優雅な踊りであり、圧巻の美しさ。 鯛生金山(日田市) 江戸時代の日田を主な舞台とした「西海道談綺」に、杖立温泉などとともに登場。現在観光施設となっている金山内部では作品にちなんだ展示も見ることが出来る。
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