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【国際】

ダライ・ラマ「統制不能なら退任」 チベット独立論をけん制

2008年3月19日 04時13分

 【バンコク=大場司】インドからの報道によると、同国亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は18日、本拠地のインド北部ダラムサラで記者会見し、中国チベット自治区での暴動への関与をあらためて否定、チベット情勢が統制不能になれば最高指導者の地位を退く意向を表明した。

 ダライ・ラマは18日に中国の温家宝首相が「十分な証拠がある」としてダライ・ラマ側を暴動の扇動者と厳しく批判したことに「ここに来て徹底的に調べればいい。私の脈拍でも尿でも、何でも調べることができる」と強く反論した。

 チベット情勢について「統制不能になれば、私の唯一の選択肢は完全な辞任だ」と進退に言及。チベット独立を求める動きに「独立は論外だ。中国人とよい関係を築かなければならない」と、亡命政府の目的は非暴力による高度な自治の達成であることを強調した。

 ダライ・ラマは過去の暴動時にも退任を口にしたことがある。今回、進退に言及した背景には、事態の鎮静化を図る一方で、ダライ・ラマが掲げる中国との対話路線への批判が、亡命チベット人の間で広がっていることをけん制する狙いがあるとみられる。

 ダラムサラの亡命チベット人の団体は17日、ダライ・ラマが今夏の北京五輪開催への支持を表明したことに反発。ダライ・ラマの対話路線が「チベット人の多数意見ではない」として見直しを要求していた。

(中日新聞)

 

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